ワイこと佐藤ナマケモノ(22)は、大学4回生。就活シーズンになっても、全くやる気が起きへんのや。

「はぁ...就活とか面倒くさすぎるわ。何かなれるもんないかな...」

そう呟きながら、ワイはベッドに寝転がってスマホをいじっとった。すると、突然変な広告が出てきよったんや。

「何者かになりたいあなたへ!今なら、人生変えられます!」

ワイは半信半疑で、そのリンクをポチってもうた。

すると、画面が真っ暗になって、不思議な声が聞こえてきよったんや。

「よう来たな、就活逃げたいガキ。ワイが何者かにしてやるで」

ワイ「えっ、マ?ほんまにできるんか?」

声「できるに決まっとるやろ。ほな、何になりたいんや?」

ワイは考えた。「せや!アイドルになりたいわ!」

次の瞬間、ワイの体がキラキラし始めて、気づいたらステージの上に立っとったんや。

ワイ「うおお!ほんまにアイドルになれたで!」

でも、歌もダンスもできへんワイは、すぐにファンに見放されてしもうた。

ワイ「あかん、これじゃあ就活より辛いわ...」

また元の姿に戻ったワイ。今度は「せや!スポーツ選手になったろ!」

するとまた体が光って、今度はサッカー場にいたんや。

ワイ「よっしゃ!プロサッカー選手や!」

でも、運動音痴のワイは、試合で全然活躍できず、すぐにベンチ外されてもうた。

ワイ「くそっ、これも向いてへんかったわ...」

何回か繰り返すうちに、ワイは気づいたんや。

「あかん、何になっても結局努力せなアカンのか...」

落ち込むワイに、さっきの声がまた聞こえてきた。

「どうや?わかったか?」

ワイ「せやな...何者かになるのも、結局は自分次第なんやな」

声「そうや。ほな、最後にもう一回チャンスやるで。今度は何になりたいんや?」

ワイは真剣に考えた。「...せや!ワイ、ワイになりたいわ!」

すると、ワイの周りがまた光り出して、気づいたらさっきまで寝転がってたベッドに戻っとったんや。

ワイ「あれ?何も変わってへんやん」

声「いや、変わっとるで。お前の心がな」

ワイは不思議な体験を思い出しながら、スマホを見た。就活サイトのページが開いとったんや。

「よっしゃ、頑張ってみるか...」

それからのワイは、少しずつやけど就活を始めたんや。エントリーシート書いたり、面接の練習したり。

最初はめっちゃ辛かったけど、なんかだんだん楽しくなってきよったんや。

「こんな会社あるんか~」
「ここの社長、おもろいこと言うてるな」

就活を通じて、ワイは色んな発見をしていったんや。

ある日の面接。

面接官「君は何者になりたいの?」

ワイは迷わず答えた。

「ワイはワイになりたいです。けど、まだワイがどんなヤツかわからへん。だから、御社で働きながら、ワイのことをもっと知りたいんです」

面接官は驚いた顔をしたけど、すぐに笑顔になった。

「面白い答えだね。君となら一緒に働いてみたいよ」

こうして、ワイは無事に内定をもらえたんや。

就活終わった後、ワイは空を見上げてつぶやいた。

「何者かになりたいって思ってたけど、ワイがワイであることが一番大事やったんやな」

そのとき、どっかから聞き覚えのある声が聞こえた気がしたんや。

「よう頑張ったな。これからも自分らしく生きていけよ」

ワイは笑って返事した。「おうよ、任しとき!」

それからのワイは、会社でも自分らしさを大切にしながら働いていったんや。辛いこともあったけど、ワイはワイのペースで頑張り続けたんや。

そして5年後、後輩の就活相談に乗るようになったワイ。

「就活って辛いけど、自分を見つめ直すええ機会やで。何者かになろうとせんでええ。お前がお前であることが一番大事なんや」

後輩は感心したように聞いとったわ。

ワイは思うんや。結局、何者かになりたいって思うてた頃が、一番ワイらしくなかったんやなーって。

今のワイは、ただのワイや。けど、それで十分幸せなんや。

就活したくないから何者かになりたいって思っとったけど、結局ワイは就活を通じて、ワイっていう何者かになれたんやな。

人生っておもろいもんやで。

...チャンチャン!