西暦2069年、日本のどこかの街。

ワイこと鈴木ヒサシ(35)は、数学音痴の中年おっさんや。学生時代から数学には苦労しとって、今でも電卓なしじゃ割り勘もできへんレベルやで。

ある日、ワイはテレビでニュースを見とったんや。

「近年、数学ができない人々への差別が社会問題となっております」

ワイは思わず前のめりになったで。

「ほんまや!ワイらも差別されとったんや!」

そこで、ワイは閃いたんや。「よっしゃ、数学をポリコレで禁止にしたろ!」

ワイは早速、SNSで「数学禁止運動」を始めたんや。

「数学ができへん奴おる?みんなで声上げようや!」

すると、あっという間に賛同者が集まってきよったで。

@math_hater69: 「数学なんて人生で使わんわ!禁止賛成や!」
@calculation_panic: 「計算できへんだけで、バカ扱いされるのはおかC」
@division_is_hell: 「割り算とか悪魔の所業やろ」

ワイは調子に乗って、街頭演説まで始めてもうたんや。

「数学は差別や! 我々数学音痴を虐げるな!」

群衆は熱狂的に応援してくれたで。

そんなこんなで、ワイらの運動は全国的なムーブメントになってもうたんや。政治家までもが「数学禁止法案」を提出する事態になってもうた。

そして、ついに法案が可決されてしもうたんや。

「数学禁止法」の概要:
1. 学校での数学教育を全面禁止
2. 数学的表現の使用を違法化
3. 数学者の再教育を義務付け

ワイは大喜びや。「これで、ワイらも差別されへんで!」

しかし、法律が施行されてみると、予想外の事態が起きてきよったんや。

まず、スーパーで大混乱が起きたんや。

店員「お会計は3つで1000円になります」
客「ちょっと待って、『3つ』『1000円』って数学的表現やないの?通報したろか?」

交通機関もメチャクチャになってもうた。

車掌「次の駅は...あかん、これ言うたら数字言うことになるわ。うーん、次の駅は『ここ』やで!」

建築現場では職人さんが困惑しとった。

「長さ? そんなん測れへんで! 感覚で切るしかないやん!」

病院でも大変なことになっとったで。

医者「体温は...えーと、『ちょい熱っぽい』くらいです。薬は...『ちびっこ一握り』ほど飲んでください」

さらに科学者から抗議の声が上がってきよった。

「数式禁止されたら研究できへんやないか!」

ワイは焦ったで。こんなことになるとは思ってへんかったんや。

そんな中、ワイのもとに政府から呼び出しがあったんや。

役人「鈴木さん、この法律のせいで国が大混乱に陥っています。何か対策を考えてください」

ワイ「えぇ...ワイが?」

役人「あなたが始めた運動でしょう。責任取ってください」

ワイは必死に考えたんや。そして、とんでもないアイデアを思いついてもうた。

「そや!数学を『スウガク語』として再定義したろ!」

こうして、数学は「スウガク語」という新しい言語として復活したんや。

学校では「スウガク語」の授業が始まり、子どもたちは「1たす1は2」を「イチ プラス イチ イズ ニ」って暗唱しとるで。

数学者も「スウガク語通訳」として復職。数式を「詩」に変換する仕事をしとるんや。

ワイは、自分で蒔いた種とはいえ、もう収拾つかへんようになってもうたことを悟ったで。

「やっぱ、数学って大事やったんやな...」

ワイは深く反省し、「スウガク語」を必死に勉強し始めたんや。

そして10年後、ワイはなんと「スウガク語」の教師になっとったんや。

授業中、ワイはよう生徒たちに言うんや。

「覚えとけよ。昔はな、これを『数学』って呼んどったんやで」

生徒たちは目を丸くして聞いとるんや。

「へー、数学ってなんですか?」
「そ、そ、それは禁断の言葉や!」

...チャンチャン!