登場人物:
ソクラテス
アテナイの若者
若者: ソクラテス先生、今日はなすびについて教えていただきたいのですが。
ソクラテス: なすびについて、と言ったかね。そうだな、まず君に聞きたい。なすびとは何かね?
若者: それは簡単です。紫色の野菜ですよ。
ソクラテス: なるほど。では、全てのなすびが紫色なのかね?
若者: えっと...そういえば、白いなすびもありますね。
ソクラテス: そうだな。ということは、なすびの定義に「紫色」は必須ではないということだね。では、なすびは野菜なのかね?
若者: はい、もちろんです。
ソクラテス: 本当かな? 野菜の定義は何だろう?
若者: うーん、植物の食べられる部分...でしょうか。
ソクラテス: その定義では、りんごも野菜になってしまうね。では、なすびの食べる部分は何かね?
若者: 実...ですね。
ソクラテス: そう、実を食べる。ということは、植物学的にはなすびは果実に分類されるんだ。
若者: え! そうなんですか?
ソクラテス: そうなんだよ。では、なすびの定義をもう一度考えてみよう。なすびは何科の植物かね?
若者: えっと...わかりません。
ソクラテス: なすびはナス科だよ。トマトやジャガイモと同じ仲間なんだ。
若者: へえ、知りませんでした。
ソクラテス: では、なすびの原産地はどこだと思う?
若者: 日本...ではないですよね。インドでしょうか?
ソクラテス: その通り。インドが原産地とされているんだ。では、なすびはいつ頃から食べられていたと思うかね?
若者: う〜ん、古代からでしょうか?
ソクラテス: 実は、ヨーロッパでなすびが食用として広まったのは比較的最近なんだ。中世までは「狂気のリンゴ」と呼ばれ、毒があると考えられていたんだよ。
若者: えっ!そんな歴史があったんですね。
ソクラテス: そうだね。では、なすびの栄養価について知っていることはあるかな?
若者: 低カロリーだと聞いたことがあります。
ソクラテス: その通り。でも、低カロリーだけじゃないんだ。なすびには、ナスニンという栄養素が含まれていて、これには抗酸化作用があるんだよ。
若者: へえ、そんな健康にいい成分が入っているんですね。
ソクラテス: そうだね。では、なすびの調理法で知っているものは?
若者: 焼きなす、揚げなす...あとは、カレーに入れたりしますね。
ソクラテス: その通り。でも、世界中にはもっと多様な調理法があるんだ。例えば、中東ではババガヌーシュというディップを作るし、イタリアではパルミジャーナという料理がある。
若者: 世界中で食べられているんですね。
ソクラテス: そうだよ。では、なすびの品種について知っていることは?
若者: 長なすと丸なすがありますね。
ソクラテス: その通り。でも、実は世界中に数千種類ものなすびの品種があるんだよ。大きさも色も形も様々なんだ。
若者: そんなにたくさんの種類があるんですか!
ソクラテス: そうなんだ。では最後に、なすびの和名の由来を知っているかい?
若者: いいえ、知りません。
ソクラテス: 実は諸説あるんだが、「なす(成す)」という動詞から来ているという説があるんだ。豊作のシンボルとして扱われてきたからだよ。
若者: へえ、そんな由来があったんですね。
ソクラテス: さて、ここまで話してきて気づいたかな?
若者: 何をですか?
ソクラテス: 我々は、なすびについて本当は何も知らなかったということだよ。
若者: えっ?でも、たくさんのことを教えていただいたじゃないですか。
ソクラテス: そう見えるかもしれないね。でも、我々が話してきたことの多くは、表面的な知識に過ぎない。なすびの本質とは何か、なぜ我々はなすびを食べるのか、なすびと人間の関係はどうあるべきか。そういった深い問いには、まだ答えられていないんだ。
若者: なるほど...確かに、そう言われてみれば。
ソクラテス: 「無知の知」という言葉を知っているかい?自分が無知であることを知ることが、本当の知恵の始まりなんだ。我々はなすびについて語りながら、実は自分たちがなすびについて何も知らないということを学んだんだよ。
若者: そうか...なすびについて知れば知るほど、分からないことが増えていくんですね。
ソクラテス: その通りだ。これが哲学の始まりなんだよ。さあ、これからが本当のなすびについての探求の始まりだ。一緒に学んでいこう。
若者: はい、ソクラテス先生。なすびを通じて、もっと深く考えていきたいと思います。
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