ワイことニート歴3年のタロウ(26)、今日もパソコンの前でニチアサ見ながらため息ついとったんや。そんな時、急に謎の声が聞こえてきたんや。

「お前、毎日バナナをスケッチしろ」

ファッ!?幻聴か?いや、でも何か神秘的な感じがする...。

「働かんでもええ。とにかくバナナをスケッチするんや。何枚でもええ」

ワイ、完全に混乱してもうた。でも、なんか言うこと聞かなアカン気がしてきたんや。

せや、バナナ買いに行こ。

コンビニで一房買って帰ってきたワイ、早速スケッチ始めたんや。

...あかん、全然うまく描けへん。バナナがバナナに見えへん。どっちかっていうとナスやな。

でも、不思議と楽しくなってきたんや。

次の日も描いた。今度はちょっとマシになった気がする。

3日目、4日目...毎日バナナ描いとったら、だんだん上手くなってきたんや。

1週間経った頃、ワイの部屋はバナナのスケッチでいっぱいになってもうた。

そんな時、久しぶりに友達のケンが遊びに来たんや。

「おいタロウ、お前...なんやこれ?」

ケン、ワイの部屋見てびっくりしとる。

「ああ、これか。毎日バナナ描いとるんや」

「は?お前アホなんか?」

そう言いながらも、ケンはワイのスケッチをじっと見とる。

「でも...なんかええな。お前、才能あるんちゃう?」

ワイ、それ聞いてめっちゃ嬉しなってもうた。

その日から、ケンも一緒にバナナ描き始めたんや。

ワイら、毎日バナナ描きながらいろんな話するようになってん。

「お前、これ絵師になれるんちゃうか?」

「まさか...ワイみたいなニートが...」

「いや、マジで。ネットにあげてみいや」

言われるがまま、ワイのバナナスケッチをTwitterにあげてみたんや。

すると...

「すごい!」「センスある!」「もっと見たい!」

コメントの嵐や。フォロワーもどんどん増えていく。

ここで、ちょっと雑学な。
バナナの絵を描くのは、実は脳にええらしいで。バナナの曲線を描くことで、右脳が活性化されるんやって。創造性や感性が磨かれるらしいんや。ニートのワイらにぴったりやんけ!

さて、話を戻すで。

ワイのバナナスケッチ、なぜかバズってもうたんや。

「毎日バナナ描いてるニートです」ってツイートが1万いいねいってもうた。

そしたら、なんと画材メーカーからDMが来たんや。

「あなたのバナナスケッチ、とても魅力的です。うちの画材でバナナを描いてくれませんか?」

ワイ、びっくりしすぎて息止まるかと思たわ。

でも、ここがチャンスや思て、やらせてもらうことにしたんや。

そしたら、これがまた大反響。

「ニートのバナナ画伯」として、ネットでめっちゃ話題になってもうた。

テレビから出演依頼も来るし、個展のオファーまであるんや。

ワイ、もうわけわからんくなってきた。

でも、不思議と楽しいんや。

毎日バナナ描いてるだけやのに、こんなに人生変わるもんなんや...。

半年後、ワイはバナナスケッチの個展を開くことになったんや。

展示会場に入ったら、たくさんの人が来てくれとる。

みんな、ワイのバナナスケッチ見て笑顔になっとる。

「こんなんでええんかな...」って思いながらも、なんか胸がいっぱいになってきたわ。

そんな時、さっきの謎の声がまた聞こえてきたんや。

「よくやった。お前は立派なアーティストや」

ワイ、思わず涙が出てきてもうた。

「ありがとう...でも、ワイまだニートやで?」

「バカもん。お前はもうニートやないわ。立派なバナナアーティストや」

そう言われて、ワイようやく気づいたんや。

ワイ、もうニートやないんや。毎日バナナ描くのが仕事になってもうたんや。

個展の後、ワイはみんなの前で話すことになったんや。

「ワイは...ニートやった。でも、毎日バナナ描いてたら、こうなってもうた。みんなも、何かやりたいことあるんやったら、とりあえずやってみい。バナナでもなんでもええ。きっと、人生変わるで」

会場から拍手が起こった。

ワイ、なんかもうめっちゃ幸せや。

これからも、毎日バナナ描き続けるで。

だって、ワイにとってバナナは...人生そのものやからな。

fin.