まず、「相互確証破壊」(Mutual Assured Destruction, MAD)という言葉は、本来は冷戦時代の核戦略を指す用語です。両陣営が互いに相手を完全に破壊できるだけの核兵器を持つことで、実際の使用を抑止するという考え方でした。

この概念を公金の不正使用、いわゆる「公金チューチュー」に当てはめると、興味深い状況が見えてきます。政治家、官僚、そして時には大企業が互いの不正を知りながら、それを暴露しないという「均衡」が生まれているのです。

なぜこのような状況が生まれるのでしょうか。それは、誰かが不正を暴露すれば、自分たちの不正も明るみに出るかもしれないという恐れがあるからです。つまり、「相互確証破壊」ならぬ「相互確証暴露」の状態が成立しているのです。

この状態では、皮肉にも公金の不正使用が持続可能になってしまいます。誰もが他人の不正を知っているがゆえに、誰も声を上げられない。そして、この沈黙の中で、公金は静かに、しかし確実に流出し続けるのです。

ここで、ちょっとした雑学を挟みましょう。「公金」という言葉、実は明治時代に作られた和製漢語なんです。それまでは「官金」や「公儀金」などと呼ばれていました。明治政府が近代的な財政制度を整えるにあたって、新たに作られた言葉なんですね。

さて、話を戻しましょう。この「相互確証破壊による公金チューチュー」の状態は、一見安定しているように見えます。しかし、これは非常に危うい均衡です。

なぜなら、この状態は社会の信頼を徐々に浸食していくからです。市民は政治や行政への信頼を失い、「どうせみんな悪いことをしている」という諦めが蔓延します。これは民主主義の根幹を揺るがす危険性があります。

また、この状態は経済にも悪影響を及ぼします。公金が適切に使用されないことで、本来なされるべき公共投資や社会保障が十分に行われない可能性があるからです。

さらに、この「相互確証破壊」の均衡は、外部からの衝撃に弱いという特徴があります。例えば、メディアの徹底的な調査報道や、内部告発者の出現などによって、一気に崩壊する可能性があります。

そうなった場合、政治や行政のシステム全体が機能不全に陥る危険性があります。つまり、この「持続可能性」は、実は非常に脆弱なものなのです。

では、どうすればこの状況を改善できるでしょうか。

一つの方法は、強力な第三者機関の設立です。政治家や官僚から完全に独立し、強い調査権限を持つ機関があれば、「相互確証破壊」の均衡を崩すことができるかもしれません。

また、公金の使用に関する徹底的な情報公開も効果的でしょう。市民がすべての支出を監視できる環境があれば、不正は難しくなります。

さらに、内部告発者の保護を強化することも重要です。不正を見つけた人が安全に声を上げられる環境があれば、「相互確証破壊」の均衡は維持できなくなります。

教育も重要な要素です。市民一人一人が公金の重要性を理解し、その使用に関心を持つことが、長期的には最も効果的な対策となるでしょう。

「相互確証破壊による公金チューチューの持続可能性」は、短期的には安定しているように見えても、長期的には社会にとって大きな脅威となります。この状況を打破し、真に持続可能な公金の使用を実現するためには、制度の改革と市民の意識向上が不可欠なのです。

最後に、この重いテーマを少し軽くするジョークで締めくくりましょう。

「政治家と官僚が『公金チューチュー相互確証破壊条約』を結んだそうです。その内容は『お互いの不正を暴露しない』というものでした。しかし、記者会見で『この条約自体が不正では?』と質問されて、二人とも顔を真っ赤にして黙ってしまったとか。相互確証破壊、恐るべし!」




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