ワイこと中村源氏(25)、某有名大学の文学部を首席で卒業した天才作家やで。自分で言うのもなんやけど、紫式部なんかよりよっぽど文才あるんや。

ある日、担当編集の田中さんから電話があってん。

「中村くん、次の企画どうする?」

ワイは即答したで。

「現代版源氏物語や!でも今回は全員イケメンにするで!」

田中さん、最初は困惑しとったけど、ワイの熱弁に負けて了承してくれたんや。

そして、ワイは筆を走らせ始めたんや。

主人公は、超イケメンで頭脳明晰、スポーツ万能の中村光源氏(もちろんワイがモデルや)。
父親は元首相、母親は元ミス・ユニバースっちゅう設定や。

光源氏の幼馴染で、クールビューティな高倉ふじお(藤壺のモデル)。
天真爛漫でポップな雨月ゆうき(空蝉)。
知的で大人っぽい桐谷むらさき(紫の上)。

こいつらを中心に、様々なイケメンキャラを登場させて、恋愛模様を描いていったんや。

ワイの小説は瞬く間に大ベストセラーになってもうた。
「イケメンしかおらん源氏物語」
「平安時代をバベルのようなイケメンタワーに変えた衝撃作」
「源氏物語がBLになった!?」
なんて評されて、めっちゃ話題になってん。

そんな絶好調のワイに、ある日突然アニメ化の話が舞い込んできたんや。

「やったで!これで天下取ったも同然や!」

ワイは意気揚々とアニメ制作会社に乗り込んでいったんや。

しかし、そこで衝撃の事実が発覚してもうた。

なんと、ワイの小説の登場人物を演じる声優が、全員美少女やったんや!

「ちょ、ちょっと待って!これイケメンキャラやで!?なんで女の子が演じとんねん!」

プロデューサーは涼しい顔で答えよった。

「いやいや、中村先生。美少女声優がイケメン演じる方が、今どきウケるんすよ」

ワイ、その場で気絶しかけたで。

でも、そこからが本番やった。

アニメが始まると、予想以上の大ヒットになってもうたんや。

「美少女声優がイケメン演じるとか斬新すぎ!」
「中村光源氏の声可愛すぎぃ!」
「これもう半分女体化源氏物語やろ」

視聴者の反応は上々で、グッズは飛ぶように売れていったんや。

ワイの銀行口座には、どんどん印税が振り込まれていく。

そんなある日、ワイは秋葉原を歩いとったんや。すると、そこでとんでもないものを目にしてもうた。

ワイの小説のコスプレをした美少女たちが、大勢おるやないか!

「うわ...ワイの小説こんなことになっとったんか...」

ワイはショックで座り込んでしまいそうになったんや。

そんなワイを、通りがかりの美少女コスプレイヤーが声をかけてきてん。

「あの...もしかして中村先生ですか?」

ワイが頷くと、その子は目を輝かせて言うたんや。

「わー!大ファンです!先生の小説読んで、文学に興味持ちました!今、大学で平安文学勉強してるんです!」

その言葉を聞いて、ワイはハッとしたんや。

そうや、ワイがやりたかったんは、源氏物語を現代に蘇らせることやったんや。イケメンだけの世界を作ることやのうて。

ワイは決意したんや。次は、本気の現代版源氏物語を書こうって。

今じゃワイ、本格的な現代版源氏物語に取り組んどる。もちろんイケメンもおるけど、様々な人間模様を描いとるんや。

そして、あの美少女コスプレイヤーとは親友になって、時々平安文学について語り合っとるで。

ワイの人生、まんま源氏物語やったわ。

イケメンだけの世界を作ろうとして、結局は美少女だらけの世界を作ってしもうた。
でも、そのおかげで多くの人に源氏物語の魅力を知ってもらえたんや。

紫式部はんも、天国で笑っとるかもしれんな。

「こら中村!わしの源氏物語を何じゃと思っとるんじゃ!...でもまあ、ようやったぞ」なんてな。

ほんま、人生何があるかわからんで。
なんJのみんなも、自分の才能信じて頑張るんやで!
...まあ、ワイみたいにイケメン小説が美少女だらけになるっちゅう珍事は、めったにないと思うけどな!ガハハ!


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