ワイこと鈴木タロウ(35)、某市役所で働く平凡な公務員や。毎日同じような仕事をこなして、同じような顔した上司の機嫌を取って...ほんま、人生つまらんわ。

そんなある日のこと。いつものようにデスクで書類整理してたら、課長が声かけてきよった。

「おい、鈴木。ちょっと来いや」

なんやろ?また残業か?そう思いながら課長の元へ向かったんや。

「実はな...」課長が小声で話し始めた。「来月の出張費、ちょっと多めに申請してみたんやが...」

ワイ、一瞬何言うとんねんこいつ、と思ったわ。でも次の瞬間、課長の意図がわかってもうた。

「おう、わかったで」ワイは頷いた。

それからや。ワイの人生が180度変わったんは。

最初は小さなことやった。出張費を水増しして申請する。飲み会の領収書を偽造する。備品購入を装って私的な物を買う。

でも、だんだんエスカレートしていったんや。

「おい、鈴木。今度の防災訓練の予算、もうちょっと膨らませへんか?」
「課長、わかりました」

「鈴木くん、新しい事業計画書作ってくれへん?予算は...まあ、適当でええわ」
「はい、部長。任せてください」

気づいたら、ワイはすっかり「公金チューチュー」の虜になっとったんや。

毎日が楽しくなってきた。高級レストランで豪華な食事。ブランド物の時計やバッグ。海外旅行。今まで指くわえて見てるだけやった贅沢が、次々と手に入るんや。

「ああ、公金チューチューは最高やで」ワイは心の中でつぶやいた。

でも、そんな生活にも終わりが来るんやろな...って薄々感じとったんや。

ある日、市長室に呼び出されてもうた。

「やばいで...バレたんか?」ワイは冷や汗をかきながら市長室のドアをノックした。

「どうぞ」中から声がした。

恐る恐るドアを開けると、市長が悪そうな笑みを浮かべて待っとったんや。

「鈴木君、噂によると君はなかなかの手腕の持ち主だそうだね」

ワイ、覚悟を決めた。「はい...すべて私がやりました。処分は甘んじて受けます」

すると市長が大声で笑い出したんや。

「何言ってるんだ!君のような人材が欲しかったんだよ。実はね...」

市長の話を聞いて、ワイは驚愕した。なんと、市長自身が裏で大規模な資金流用をやっとったんや。そして、ワイにその片棒を担がせたいって言うんや。

「どうだ?私と一緒に、この街の金をチューチューしないか?」

ワイ、一瞬迷ったんや。でも、すぐに決心がついた。

「はい、喜んで!」

それからのワイの人生は、まさに波乱万丈や。市長の右腕として、あらゆる汚職に手を染めていった。でも、そのぶん懐も膨らんでいったんや。

高級外車、豪邸、美女...欲しいものは何でも手に入る。まさに、天国やった。

「ほんま、公金チューチューは最高やで」ワイは毎日そう思いながら、優雅な生活を送っとったんや。

でも、そんな生活もついに終わりを告げる時が来た。

ある日、ワイが出勤すると、市役所は警察でいっぱいやった。

「あかん...ついに来よったか」

ワイは観念して、両手を上げた。

「鈴木タロウ容疑者ね?逮捕する」刑事が冷たく言い放った。

そうして、ワイの「公金チューチュー」生活は幕を閉じたんや。

今、ワイは刑務所のベッドで横になりながら、あの頃を思い出しとる。

確かに今は辛いけど、あの贅沢な日々は最高やった。もし、タイムスリップして同じ選択肢が目の前に現れたら...ワイはきっと、また「公金チューチュー」の道を選ぶんやろなぁ。

だって、公金チューチューは最高やったもんなぁ...。




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