ワイ、普通の大学生やと思とったんや。でも、あの日を境に全てが変わってもうた...

朝から晩まで勉強漬けの日々。ワイはもう限界やった。「こんな生活、人間らしくないわ」って思いながら、図書館でため息ついとったんや。

そん時や。急に頭んなかで声が聞こえてきたんや。
「お前、人間やめてアルファオスになりたいか?」

ワイ、最初は寝不足で幻聴が聞こえとるんかと思うたんや。でも、その声は続いた。
「お前の悩みは全て解決できる。人間なんかやめて、最強の存在になれるんやで」

正直、怖なってきたんや。けど、同時にその言葉に惹かれてもうた。
「ほな...どないしたらええんや?」ワイは小声で聞いてもうた。

すると、目の前に得体の知れん影が現れたんや。人の形をしとるけど、どこか違う。その姿を見た瞬間、ワイの体に激痛が走った。

「ぐああああっ!」

気づいたら、ワイの体が変形し始めとった。手足が伸びて、筋肉が膨らんで、皮膚が硬くなっていく。痛みで気が狂いそうやったけど、同時に凄まじい力が湧いてくるのを感じたんや。

図書館にいた他の学生たちは、恐怖で固まっとった。ワイは自分の姿を鏡で確認しようとしたんやが、もう人間の姿やない。灰色の硬い皮膚に覆われた、筋肉隆々の怪物になっとったんや。

「お前はもう人間やない。アルファオスや。最強の存在なんや」頭の中の声が告げた。

ワイは自分の新しい姿に戸惑いながらも、なんか誇らしさも感じとったんや。「これで、もう誰にも負けへん」そう思うた瞬間、ワイの中で何かが壊れた。

図書館から飛び出したワイは、街中を暴れ回り始めたんや。車を持ち上げて投げたり、ビルの壁を素手で壊したり。人々は悲鳴を上げて逃げ惑うんやが、ワイにはもうどうでもよかった。

「強え...ワイ、めっちゃ強くなったで!」ワイは歓喜の叫びを上げた。

警察も自衛隊も、ワイには歯が立たへん。銃弾はワイの硬い皮膚をかすりもせえへんかったんや。

でも、暴れまわるうちに、ワイは気づいてしもうた。もう二度と人間には戻れへんってことに。家族や友達との日常も、好きな食べ物を食べることも、全部失ってもうたんや。

「やっぱりアカンわ...人間に戻りたいねん!」ワイは叫んだ。けど、もう遅かった。

街中を破壊し尽くしたワイは、ついに海に向かって歩き出した。「せめて、もうこれ以上被害は出さんようにせな...」

海の中に沈んでいくワイ。最後に頭に浮かんだのは、人間やった頃の何気ない日常やった。

「ああ...人間に戻りたかったわ...」

そう思いながら、ワイはどんどん深い海の底へと沈んでいったんや。もう二度と、陸には上がらへん決意をして。

人々は、突如現れた怪物に恐怖し、そして突如姿を消した怪物に困惑した。けど、誰も知らへん。その怪物が、かつては普通の大学生やったことを。

海底に横たわるワイ。もう人間には戻れへんけど、せめてこれ以上被害は出さんようにしようと決意したんや。

けど、時々思うんや。あの声の正体は何やったんやろう?なんでワイが選ばれたんやろう?そして、他にもワイみたいになった奴らがおるんやないか?って。

そんな疑問を抱えながら、ワイは海底で永遠の眠りについた。人間をやめてアルファオスになった、元・普通の大学生の物語や。

人間であることの大切さ。当たり前の日常のありがたさ。ワイの物語は、そんなことを教えてくれとるんかもしれへん。

みんな、欲に目がくらんで取り返しのつかんことになったらアカンで。人間らしく、普通に生きるのが一番ええんや。

ワイの話を聞いてくれてありがとうな。これからは、人間として精一杯生きていってくれや。