朝露きらめく畑の中
緑の海が風に揺れる
太陽の恵みを浴びて
黄金の軸がそびえ立つ

絹の髪をなびかせて
天を仰ぐ誇り高き姿
大地の力を吸い上げ
甘い実りを育む

人の手によって蒔かれた種
幾世代にも渡る選択の結晶
野生のテオシントから生まれ
文明を支える力となる

夏の日差しに輝く葉
光合成の奇跡を紡ぐ
根は地中深く伸びて
生命の源を求める

雄穂は風に花粉を舞わせ
雌穂は静かに実りを待つ
一粒一粒に込められた
生命の神秘と希望

やがて実る黄金の粒
甘さと香りに満ちて
人々の口福となり
命をつなぐ糧となる

畑の守り人の汗と
太古の農民の叡智が
この一本の茎の中に
脈々と受け継がれる

時に干ばつに耐え
時に豪雨を乗り越え
逆境の中でも
たくましく育つ姿

人類の歴史と共に歩み
文化を育み、芸術を生む
神話や伝説の中で
崇められ、謳われる存在

メソアメリカの古代文明
マヤやアステカの人々の
生活の礎となり
繁栄をもたらした贈り物

コロンブスの航海を経て
世界中に広がる種
各地の風土に適応し
多様な姿を見せる

黄色い粒、白い粒
赤や紫の色とりどり
甘い味、もちもちした食感
それぞれに個性豊か

ポップコーンはじける音
映画館の楽しみを彩る
バーベキューの焼きとうもろこし
夏の思い出の香りがする

コーンスープの優しい味
冬の体を温める
ポレンタやトルティーヤ
各国の食文化を支える

飼料となり、家畜を育て
間接的に人を養う
エタノールの原料となり
エネルギーをも生み出す

しかし、その栄養価ゆえに
時に争いの種となり
食料か燃料かの選択に
人類は頭を悩ませる

遺伝子組み換えの技術で
新たな可能性を秘めつつ
自然との調和を探る
現代の難題に直面する

それでもなお、畑に立つ
とうもろこしの凛とした姿
変わらぬ愛おしさで
人々の心を捉えて離さない

緑の葉が風にそよぐ音
穂先がこすれ合う音
生命の鼓動を感じさせる
静かなシンフォニー

収穫の時を迎えれば
黄金色に輝く畑
豊穣の喜びに満ちた
農夫の笑顔が広がる

一粒の種から始まり
大地と太陽の恵みを受け
人の手によって育てられ
やがて人の糧となる

この永遠の循環の中に
生きることの本質が宿る
とうもろこしは語りかける
命のつながりの物語を

たとえ姿を変えようとも
その本質は変わらない
大地に根ざし、天を仰ぐ
生命力の象徴として

これからも人と共に歩み
未来を築く力となる
黄金の贈り物、とうもろこし