ワイは物理学部の落ちこぼれや。普通の大学生なら、この時間帯に飲み会とかデートしとるんやろうけど、ワイはアパートでなわとびしとる。なんでなわとびなんかしとるんやって?それはな、超ひも理論の研究のためなんや。
「超ひも理論?なわとび?アホか?」
そう思うやろ。ワイもそう思うで。でもな、超ひも理論っちゅうのは、宇宙のすべてがひもみたいな1次元の物体でできとるっちゅう理論なんや。そのひもがビヨンビヨン振動しとって、その振動の仕方で素粒子の種類が決まるんやて。
ほんで、ワイはそのひもの動きをなわとびで再現しようと思ったんや。アホみたいやけど、物理学の歴史を見たら、こんなアホみたいな発想から大発見が生まれたりするんやで。
まあ、そんなわけで、ワイはアパートの狭い部屋でなわとびしとった。普通のなわとびやと面白くないから、発光ダイオードつけて光るなわとびにしたんや。暗い部屋で光るなわとび回すと、なんかそれっぽくない?
ビュンビュンビュン。
なわとびの軌跡が、まるで宇宙の神秘を表しとるかのように、美しく光る。
ビュンビュンビュン。
ワイは必死になわとびを回し続けた。汗びっしょりや。息も切れてきた。でも、なんかひらめきそうな気がして、やめられへんのや。
ビュンビュンビュン。
そのとき、突然部屋の空気が変わった。なわとびの軌跡が、まるで生き物のように蠢き始めたんや。
「な、なんやこれ…」
ワイはビビりながらも、なわとびを回し続けた。すると、なわとびの光の軌跡が、どんどん複雑になっていく。まるで、宇宙のすべての次元が、この狭い部屋に凝縮されたかのようや。
ビュンビュンビュオォォン。
なわとびの音が変わった。低い唸り声みたいな音や。ワイの腕はもう限界やのに、なわとびが勝手に回り続けとる。
「や、やばい…なんか来るで…」
そう思った瞬間、ビカーンッ!って音とともに、目の前に光の渦が現れたんや。
「うおおおお!」
ワイは思わず叫んだ。光の渦はどんどん大きくなって、ついにワイを飲み込んでもうた。
気がつくと、ワイはなんか不思議な空間におった。周りはキラキラ光る無数のひもみたいなもので埋め尽くされとる。
「ここは…まさか超ひも理論の世界?」
ワイはそう思いながら、周りを見渡した。すると、遠くの方からなんか人影みたいなんが近づいてきよった。
「よう来たな」
なんと、アインシュタインやないか!白髪頭に口ひげのあのアインシュタインや!
「あ、アインシュタイン…?」
「そうや。ワイはこの超ひも理論の世界の案内人や。お前、よくぞここまで来たな」
ワイは驚きのあまり言葉を失った。アインシュタインは続けた。
「お前のなわとび、見事やった。あれはまさに、超ひも理論の本質を表しとったんや」
「えっ?あのなわとびが?」
「そうや。お前は気づかんかったかもしれんが、あのなわとびの軌跡は、11次元の動きを完璧に再現しとったんや」
ワイはますます驚いた。自分でもよくわからんことやってたのに、それが超ひも理論の核心やったんか。
「ほな、ワイがこの世界のことを教えたるわ。ついて来い」
アインシュタインについていくと、まるでジェットコースターみたいに、ひもの上を滑っていくんや。
「うおおお!めっちゃ楽しいやん!」
ワイは思わず叫んだ。アインシュタインも楽しそうに笑いよった。
「な?物理学って面白いやろ?」
ひもを滑りながら、アインシュタインは色んなことを教えてくれた。重力の正体とか、時間の流れの秘密とか、宇宙誕生の瞬間のことまで。ワイは、自分が物理学をめっちゃ好きやったんやということに気づいたんや。
「ほな、そろそろ戻る時間やな」
アインシュタインがそう言うた瞬間、ワイはまた光に包まれた。
目を覚ますと、ワイはアパートの部屋で倒れとった。なわとびは床に転がっとる。時計を見ると、なわとびを始めてからたった5分しか経っとらへんかった。
「夢…やったんか?」
ワイはそう思いながら、床に転がってるなわとびを拾い上げた。その瞬間、なわとびが不思議な光を放った。
「あかん…夢やのうて本当やった…」
ワイは興奮しながら、すぐさまパソコンを開いて、超ひも理論についての論文を書き始めた。アインシュタインから教わったことを、全部書き出していく。
それから1年後、ワイの論文は物理学会で大反響を呼んだ。「なわとびで超ひも理論を証明した天才」として、ワイはノーベル賞まで受賞してもうた。
「アカン…まさかこんなことになるとは…」
ノーベル賞授賞式でスピーチするワイの隣に、誰にも見えへんアインシュタインの姿があった。
「よっしゃ、これからもなわとび頑張れよ」
アインシュタインはニヤリと笑って、消えていった。
ワイは思った。物理学って本当に面白いわ。そして、なわとびって本当にすごいわ。
これからも、ワイはなわとびで宇宙の謎に挑戦し続けるんや。
おわり
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