ワイはいつもの様に、深夜アニメ見ながらポテチ食ってたんや。気づいたら朝の4時。「あかん、もう寝なきゃ」って思って布団に潜り込んだんやけど、なかなか寝付けへんかってん。

やっと寝られたと思ったら、変な夢を見始めたんや。最初は普通の夢やったんやけど、急に雰囲気が変わってもうた。

夢の中のワイは、なんか薄暗い路地におったんや。周りの建物はどれも古くて、ボロボロやった。「ここどこやねん」って思いながら歩いてたら、後ろから足音が聞こえてきたんや。

振り返ったらなんか、でかい影が見えたんや。ワイより絶対デカいし、筋肉ムキムキっぽかってん。顔は見えへんかったけど、なんか獣みたいな唸り声が聞こえてきて、ゾクッとしたわ。

「やべえ」って思って走り出したんやけど、どこ行っても同じような景色で、迷路に入ったみたいやってん。息切れしてきて、「もうアカン」って思った時に、角を曲がったらデッドエンドやってん。

振り返ったら、そいつがすぐ後ろにおったんや。近くで見ると、人間というより、人型の獣みたいな感じやった。目が赤く光ってて、牙みたいなんが見えたわ。

ワイは壁に追い詰められて、逃げ場がなくなってもうた。そいつが近づいてくるんやけど、ワイは動けへん。足がガクガクして、声も出えへんかってん。

そいつが手を伸ばしてきて、ワイの首を掴んでもうた。力強くて、呼吸ができへんくらいやってん。目の前が真っ暗になりかけた時、ワイは必死に叫んだんや。

「た...たす...けて...」

すると突然、目が覚めたんや。汗びっしょりで、心臓バクバクしてた。布団の中やのに、めっちゃ寒気がしたわ。

「夢か...」って思って、ほっとしたんやけど、なんか変な感じがしてん。首のあたりがチクチクするんや。鏡見てみたら、首に赤い跡がついとったんや。まるで、誰かに掴まれたみたいな跡やってん。

「これ、まさか...」って思ったけど、考えたくなかったわ。きっと寝相が悪くて自分で付けたんやろ、そう思い込むことにしたんや。

でも、それからというもの、毎晩同じ夢を見るようになってもうたんや。毎回、同じ薄暗い路地、同じデカい影、同じ追いかけっこ。そして毎回、首を掴まれて目が覚めるんや。

で、毎朝鏡見ると、首に新しい跡がついとるんよ。最初は自分で付けたんやろって思っとったけど、だんだんそうも思えんくなってきたわ。

ネットで調べてみても、似たような話は見つからへんかってん。誰かに相談しようと思ったけど、こんな話誰も信じへんやろって思って、黙っとったんや。

そうこうしてるうちに、夢の中の「あいつ」がだんだん大胆になってきたんや。最初は首を掴むだけやったのに、今じゃ体中に爪跡つけてくるし、髪の毛引っ張ってくるし...。

目が覚めた時の傷跡も、どんどんひどくなってきてん。もう長袖着ないと外出れへんくらいや。

そんなある日の夜、いつもの夢を見てたんやけど、なんか違和感があったんや。よく見たら、路地の壁に落書きがあってん。

「おまえはもうワシのもんや」

その文字見た瞬間、背筋が凍るくらいゾッとしたわ。そしたらまた、後ろから足音が聞こえてきてん。

振り返ったら、いつもの影やったんやけど、今回は顔がはっきり見えたんや。それはまるで...ワイの顔やってん。でも、目は赤く光ってて、口には鋭い牙...。

ワイは叫び声をあげて、目が覚めたんや。いつもより汗かいてて、心臓がバクバクいうてん。「やっぱ夢か...」って安心しかけたんやけど、なんか違和感があってん。

ベッドの中になんかおるような...。布団をめくったら、そこには赤い目をした「もう一人のワイ」が横たわっとったんや。にやっと笑って、「よう、来たで」って言うてきたんよ。

その瞬間、ワイの視界がグルグル回って、意識が遠のいていったんや。気づいたら、ワイはさっきまで「もう一人のワイ」がおった場所に横たわっとってん。体が勝手に動いて、ベッドから降りたんや。

鏡を見たら、そこにはさっきの「もう一人のワイ」の姿が映っとったわ。赤い目、鋭い牙...。そして、ニヤリと笑う口元。

「よっしゃ、これでワイの番や」

その言葉を最後に、ワイの意識は完全に闇に呑み込まれてもうたんや...。

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