ワイこと鈴木太郎(28)は、NPO法人「美しい東京を作る会」の理事長として、悠々自適の生活を送っとった。

「ニートから社長になれるなんて、人生何があるかわからんな」

そう呟きながら、高級フレンチでフォアグラを頬張るワイ。おばさんのコネで都から5000万円の助成金をゲットして、毎日が天国やった。

ところがある日、都庁から電話がかかってきよった。

「もしもし、鈴木さんですか?都知事の秘書です。知事が直接お話ししたいそうです」

「え?知事?」

ワイは焦った。まさか...バレたんか?

電話口から聞こえてきたんは、都知事・あかねちゃんの声やった。

「鈴木さん、こんにちは。あなたのNPOの活動内容について、詳しくお聞きしたいのですが」

「あ、はい...」

あかねちゃんは若くてかわいい知事として人気者やけど、その反面、めっちゃシビアな性格でも有名やった。

「具体的に、どれくらいのゴミを回収されたんですか?」

「え、えっと...そ、そんなん数えとらへんっす...」

「会計報告も見せていただきたいのですが」

「かしこまりました...」

ワイは冷や汷をかきながら、適当に作った会計報告書を提出した。しかし、あかねちゃんの追及は執拗やった。

「この高額な交際費は何ですか?」

「そ、それは...重要な方々との会食...」

「レクサスのリース代?これも活動に必要なんですか?」

「そ、その...機動力が...」

あかねちゃんの目が鋭く光る。

「鈴木さん、正直に話しましょう。この助成金、本当に有効活用されていますか?」

ワイはついに観念した。

「すんません...ワイ、ちょっと調子乗りすぎました...」

あかねちゃんは深いため息をついた。

「わかりました。では、助成金全額の返還と、NPOの解散をお願いします」

「はい...」

ワイは肩を落として都庁を後にした。

その夜、ワイは公園のベンチに座って、人生を振り返っとった。

「やっぱり楽して金稼ごうなんて、アカンことやったな...」

そのとき、誰かが声をかけてきた。振り返ると、なんとあかねちゃんやった。

「鈴木さん、あなたのような若者が増えているんです。でも、それは社会の問題でもあるんです」

「知事...」

「あなたの能力、本当の意味で社会のために使ってみませんか?」

あかねちゃんは、ワイに都庁での仕事を提案してきよった。

「ほんまですか!?」

「はい。でも、今度は正直に、真面目に働いてくださいね」

ワイは涙ぐみながら頷いた。

そして、ワイはこう呟いた。

「公金チューチューは簡単や。でも、本当に難しいんは、その金で社会を良くすることなんや」

これが、のちに「鈴木の名言」として語り継がれることになるんや。

そして、ワイはあかねちゃんの下で、本当の意味での社会貢献を始めたのであった。


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牛野小雪の小説season2
牛野小雪
2020-07-11