ある日のことや。ワイこと山田太郎、25歳童貞ニートは、いつものようにマッマの作ったチャーハンをすすりながらなんJを見とったんや。
「あーあ、ワイがイケメンで年収1000万あったらなぁ」
そんなことを考えながらスマホを見とったら、突然画面が真っ暗になってもうた。
「えっ?バッテリー切れたんか?」
そう思ってコンセントに繋いだんやけど、画面は真っ暗のまま。そしたら次の瞬間、スマホから眩しい光が溢れ出してきよったんや。
「なんやこれ!?」
驚いて目を閉じたワイの耳に、不思議な声が聞こえてきた。
「弱き男よ、汝に力を与えん」
「え?誰や?」
「我は神なり。汝の願いを聞き入れ、力を授けることにした」
「マ?神様がワイなんかに力くれるんですか?」
「そうじゃ。だが、その力は24時間限りじゃ。それを踏まえた上で、どんな力が欲しいのじゃ?」
ワイは考えた。モテモテになりたい?金持ちになりたい?いや、それだけやないな。ワイはもっと根本的なものが欲しかったんや。
「全てを支配する力が欲しいです」
「ほう...わかった。汝の望み通り、全てを支配する力を与えよう。だが、24時間後にはその力は消え去る。そして、その力の使い方次第では、恐ろしい代償が待っておるぞ」
神様はそう言うと、ワイの体に不思議な力が流れ込んできた。
「おおお...これが力か...」
ワイは早速その力を試してみることにした。まずは、長年ワイをいじめとったヤンキー達や。
念じるだけで、あいつらを操ることができた。ヤンキー達は突然、道端で土下座を始めよったんや。
「山田様、申し訳ございませんでした!」
ワイはニヤリと笑った。次はあの生意気な女子大生や。ワイに冷たい態度とっとったくせに、チャラ男とはイチャイチャしとったあいつや。
念じると、あいつは突然ワイの家に向かって走ってきよった。
「山田くん!私、あなたのことが好きでした!」
ワイは高笑いした。これや、これこそがワイの求めとった力や!
そうこうしているうちに、ワイは町中の人間を操り始めた。道行く人々は皆、ワイに頭を下げ、ひれ伏すようになった。
ワイはどんどん調子に乗ってきた。町を支配したら次は国や!世界を支配してやる!
そうしてワイは、政治家や実業家、軍人たちを操り始めた。あっという間に日本中がワイの言いなりになってもうた。
「もっと...もっとや!」
ワイの目は血走り、狂気に満ちていった。世界中の指導者たちを操り、戦争を引き起こし、経済を崩壊させた。
人々は恐怖に怯え、混乱が広がっていく。でもワイは満足やなかった。もっと力が欲しい。もっと支配したい。
そうや、人間だけやない。動物も、植物も、地球そのものも支配してやる!
ワイは念じた。地球の回転を止めろ!
その瞬間、世界中で大地震が起こり、大津波が発生した。火山が噴火し、隕石が降り注ぐ。
「アカン...アカンで!」
ワイは我に返った。でももう遅い。地球は崩壊の一途を辿っとる。
「こんなはずやなかった...」
ワイは絶望的な気分になった。そのとき、また例の声が聞こえてきた。
「愚かな男よ。力を持て余したな」
「神様!どないしたらええんですか!?」
「もう遅いのじゃ。お主の欲望が世界を滅ぼしてしまった」
「そんな...ワイはただ...認められたかっただけなのに...」
「力を得ようとするのは簡単じゃ。だが、それを正しく使うのは難しい。お主は最も大切なものを忘れておった」
「大切なもの...?」
「そう、思いやりの心じゃ」
ワイは号泣した。こんなことになるなんて...ワイはただモテたかっただけやのに...
そのとき、目の前が真っ暗になった。
「ハッ!」
ワイは飛び起きた。見ると、なんやらスマホを握りしめたまま寝とったみたいや。
「夢...か?」
ほっとしたのもつかの間、ワイは恐ろしいことに気づいた。
枕元には見覚えのない古びた巻物が置いてあったんや。
恐る恐る開いてみると、こう書いてあった。
「次はもっと賢く使うのじゃぞ」
ワイは震える手でスマホを確認した。日付は昨日のままや。つまり...あと23時間もあるってことやな。
ワイは深呼吸した。今度こそ、正しく使わなあかん。でも...本当にそんなんできるんやろか?
ワイの額には冷や汗が浮かんでいた。これからどないなるんや...。そして、この力を正しく使えるんやろか...。
人類の運命は、ワイのような弱者男性の手に委ねられてしまったんや。これって...本当に幸せなことなんやろか?
ワイは重い足取りで部屋を出た。外では、まだ何も知らない人々が普通の日常を過ごしとる。
でも、もしかしたら明日にはこの世界が一変しているかもしれへん。それもこの弱いワイの手で...。
神様は本当に正しいことをしたんやろか?弱者に力を与えるって...。
ワイはため息をついた。残り23時間。この先どないなるか、誰にもわからへん。
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