深夜のなんJ。「ワイに小説家の才能あるんか?」というスレを立てたなんJ民の前に、突如としてソクラテスが現れる。

なんJ民:「ファッ!?誰やお前!」

ソクラテス:「我はソクラテス。汝の問いに答えるべく、はるか古代ギリシャより参上した」

なんJ民:「マ?マジで出てきたんか。ってか、なんJって知っとるんか?」

ソクラテス:「知らぬ。だが、問いを発する者がいる限り、我は現れるのだ」

なんJ民:「へー、すごいやん。で、ワイに小説家の才能あると思う?」

ソクラテス:「まずは問おう。汝は『才能』とは何だと考える?」

なんJ民:「えっ、そんな難しいこと言われても...才能は生まれ持った能力やろ?」

ソクラテス:「なるほど。では、その『生まれ持った能力』は如何にして判断できるのだ?」

なんJ民:「うーん、天才とか神童みたいな人を見たら分かるやん」

ソクラテス:「しかし、多くの偉大な作家たちは、若い頃は才能を認められなかった。それでも彼らは偉大な作品を残した。これをどう考える?」

なんJ民:「そら...努力したんやろ?」

ソクラテス:「その通り。では、『才能』と『努力』の関係はどうあるべきだと思う?」

なんJ民:「えっと...才能があれば努力せんでもええんちゃう?」

ソクラテス:「それは本当にそうだろうか?才能があっても努力しなければ、その才能は花開かないのではないか?」

なんJ民:「あっ、確かに...」

ソクラテス:「さらに問おう。小説を書くことで何を得たいのだ?」

なんJ民:「うーん、有名になりたいし、金儲けしたいかな」

ソクラテス:「その目的のために小説を書くのか?では、小説の本質とは何だと思う?」

なんJ民:「本質?...面白い話を書くことやないか?」

ソクラテス:「なるほど。では、『面白い』とは何だ?誰にとって面白いのだ?」

なんJ民:「えっと...読者にとって...かな?」

ソクラテス:「よく気づいた。小説とは、書き手と読み手の対話なのだ。では、その対話を成立させるために必要なものは何だろう?」

なんJ民:「うーん...想像力?表現力?」

ソクラテス:「そうだ。そして、それらは訓練によって磨かれるものだ。つまり、才能とは努力の結晶なのではないか?」

なんJ民:「なるほど...才能があるかどうかより、努力するかどうかが大事なんやな」

ソクラテス:「その通りだ。だが、ただ闇雲に努力するのではなく、自分の作品を客観的に見つめ、常に問いかける姿勢が必要だ」

なんJ民:「問いかける...か。ソクラテスさんみたいに?」

ソクラテス:「そうだ。自分の無知を知ることこそが、知恵の始まりなのだ」

なんJ民:「なんか、ちょっと分かってきたかも...」

ソクラテス:「よし、最後に一つ大切なことを教えよう」

なんJ民:「はい!」

ソクラテス:「小説家の才能とは、自らの内なる声に耳を傾け、それを言葉にする能力だ。そして、その言葉が他者の心に響くとき、初めて才能は花開く。だが、それは一朝一夕には成し得ない。日々の思索と努力の先に、真の才能は宿るのだ」

なんJ民:「おお...なんかカッコいいっす」

ソクラテス:「さあ、君の小説家としての旅が始まるのだ。常に問い続けることを忘れずに」

ソクラテスの姿が消えていく。感動したなんJ民は、すぐさまメモ帳を立ち上げ、小説を書き始めた。

数時間後...

なんJ民:「よっしゃ!ついに小説が完成や!」

興奮冷めやらぬなんJ民は、出版社に原稿を送ろうとする。しかし、送信ボタンを押す直前、ふと疑問が湧いた。

なんJ民:「ちょっと待てよ...ワイの小説、面白いんかな?」

そう言って、自分の書いた小説を客観的に読み返し始めるのだった。

すると、画面の隅に小さな吹き出しが現れる。

ソクラテス:「よくぞ気づいた。自問こそが成長の始まりなのだ」