ワイ(神)、天界でくつろいどったんや。永遠の時が流れる中、ふと人間界を覗いてみたくなってな。
そしたら、めっちゃイキってる奴おるやんけ。
「人生は不公平だ。でも、それは努力しない理由にはならない」
なんやこいつ、めっちゃ偉そうやな。ワイ(神)、ちょっとイラッとしてもうた。
「ほーん、じゃあチー牛にしたろ」
ワイ(神)の力で、そいつをチー牛に変えてもうたんや。
次の瞬間、そいつの人生が激変した。
まず、顔がチー牛顔に。丸メガネに、パッツン前髪、そして特徴的な口元。完璧なチー牛や。
そいつの名前は田中太郎。今まで平凡やけど、それなりにモテる人生やったんや。でも、チー牛になった瞬間、全てが変わった。
翌朝、田中太郎は鏡を見て絶叫した。
「うわああああ!なんやこれ!」
でも、時間がないから急いで会社に向かう。
電車の中、いつもはそこそこ視線を集めてたのに、今日は誰も見向きもせん。むしろ、避けられてる感じすらある。
会社に着くと、同僚たちの反応も明らかに違う。
「おはよ...って、田中さん?何かあったの?」
「え?何が?」
「いや、なんか...違うなと思って」
田中太郎は必死に平常を装うが、一日中周りの視線が気になって仕方ない。
昼休み、いつもの美人OLに話しかけてみる。
「あの、今日一緒にランチどう?」
「ごめんね、今日は用事があるの」
明らかな嘘やった。昨日まではイケメン扱いやったのに、一夜にして全てが変わってしもた。
帰り道、行きつけのバーに寄ってみる。
「いらっしゃいま...あれ?新しいお客様ですか?」
常連なのに、バーテンダーに認識されへん。チー牛の威力恐るべしや。
家に帰って、再びワイ(神)に祈りを捧げる田中太郎。
「神様、どうか元に戻してください!」
ワイ(神)「あかんで。お前が言うたやろ。人生は不公平やって。これがお前の言う不公平や。でも、努力したらなんとかなるんちゃう?」
田中太郎、絶望のあまり泣き崩れる。
翌日から、田中太郎の地獄の日々が始まった。
会社では、今までの実績を認められてはいるものの、明らかに扱いが違う。プレゼンの機会も減り、重要な仕事も回ってこなくなった。
「田中くん、ちょっと印刷お願いできる?」
今まで田中「さん」だったのに、いつの間にか「くん」呼びに。
恋愛面では完全に詰んでいた。マッチングアプリに登録しても、全くマッチしない。
「こんなんアカンわ...」
田中太郎、ついに行動を起こす決意をした。
まず、髪型を変えてみた。パッツンをやめて、ちょっとオシャレな感じに。
次に、服装。ダサいと言われがちなポロシャツを卒業して、シャツにジャケットのコーディネートに。
そして、メガネも四角いフレームに変更。
少しずつだが、変化が現れ始めた。
「田中くん...じゃなくて、田中さん。なんか雰囲気変わった?」
同僚たちの反応も、少しずつ変わってきた。
でも、まだまだチー牛の呪縛は強い。
そこで田中太郎、一計を案じた。
「よし、筋トレだ!」
毎日欠かさず筋トレを始める。最初は辛かったが、徐々に体が変わってくるのを実感。
半年後、田中太郎の体は見違えるように変化していた。
「田中さん、すごいね!キレイに痩せたじゃない」
女性社員たちの視線も、以前とは明らかに違う。
そして、仕事面でも変化が。
「田中くん...いや、田中さん。次のプロジェクト、君にリーダーをお願いしたい」
上司からの信頼も取り戻した。
恋愛面でも、少しずつだが変化が。マッチングアプリでも、たまにマッチするように。
「やれば、変われるんだ...」
田中太郎、天啓を得る。
そんな田中太郎の姿を、ワイ(神)は天界から見守っていた。
「おっ、なかなかやるやん」
ワイ(神)、ちょっと感心。
そして、1年後。
田中太郎、完全に別人のように変貌を遂げていた。
筋トレで鍛えぬかれた体、自信に満ちた態度、そして仕事でも大きな成果を上げるように。
「田中さん、今度飲みに行きませんか?」
かつての美人OLから誘いも。
そんな田中太郎を見て、ワイ(神)決断する。
「よっしゃ、もう元に戻してやろ」
ワイ(神)の力で、田中太郎の顔は元の顔に戻った。
しかし、田中太郎は鏡を見ても特に驚かない。
「ふーん、元に戻ったか。でも、もう関係ないな」
そう、今や田中太郎にとって、外見なんてどうでもよくなっていた。
内面から湧き出る自信が、彼の最大の魅力になっていたからだ。
「人生は不公平かもしれない。でも、努力次第で何だってできる。俺はそれを身をもって証明したんだ」
田中太郎、今や完全に人生の勝ち組に。
ワイ(神)、複雑な気分になる。
「なんやこいつ、調子乗っとるな...でも、まあええか」
そして、天界に戻ろうとするワイ(神)。
その時、ふと思いついた。
「よっしゃ、次は誰をイジメたろかな~」
ワイ(神)の悪戯は、まだまだ続く...
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