ワイはニートや。毎日、実家でゲームしたりアニメ見たりして、だらだら過ごしとる。親はワイのことをクソ息子言うて嘆いとるけど、ワイからしたら、こんな生活が一番ええんや。

ある日、ワイの部屋にお袋が入ってきた。

「あんた、いつまでこんな生活続ける気?」

「えー、もうちょっとだけ...」

「もうええ加減にせぇ!おじさんが話があるって。今すぐ行きなさい!」

しゃあない、重い腰を上げてワイはおっさんの事務所に向かった。

おっさんは都議会議員やねん。めっちゃ偉そうな顔しとるけど、ワイから見たらただのクソジジイや。

「よう、来たか。お前にええ話があるんや」

「なんすか?」

「NPO法人作ったから、お前に理事長やってもらうで」

「はぁ?ワイがですか?」

「ああ。お前、ニートやろ?これでもう世間体のええ肩書きができるで」

ワイは首を傾げた。なんでこんなクソジジイがワイにええことしてくれるんや?絶対裏があるわ。

案の定、おっさんは続けた。

「実はな、この法人を使って都の補助金をもらうんや。お前はただの飾りや。あとは全部ワシがやるから」

なーんや、そういうことか。ワイを利用して公金をチューチューする気やな。でも、ワイにとっちゃ悪い話やないで。ニートのまま肩書きだけもらえるなんて、最高やん。

「わかりました。やります」

こうしてワイは、NPO法人「未来を創る若者の会」の理事長になった。仕事と言えば、たまに書類にハンコを押すくらい。あとは相変わらずニート生活や。

おっさんの言う通り、都から補助金がどんどん入ってきた。ワイの口座にも、毎月それなりの額が振り込まれる。これがおっさんからのお小遣いやね。

そんな中、都知事選挙が始まった。現職の知事は汚職疑惑で辞任し、大混乱の中での選挙や。

「誰が出るんやろ?」

ワイがテレビを見てると、驚きの候補者が現れた。

「私はこんかいの都知事選に立候補します!」

なんと、人気アイドルあかねちゃんや!アイドルが政治家になるなんて、世も末やと思たけど、あかねちゃんの主張はめっちゃ真面目やった。

「この都の公金チューチューを根絶し、若者が希望を持てる街にします!」

あかねちゃんの熱意は、みんなの心を掴んだ。SNSでバズりまくり、若者の間で支持が広がっていった。

おっさんは焦っとった。

「くそっ、あんな小娘が当選したら、ワシらの美味しい汁が吸えんようになる!」

選挙戦は熾烈を極めた。おっさんらの陣営は、あかねちゃんの経歴を攻撃したり、デマを流したりした。でも、あかねちゃんは全然動じへん。

「私には確かに政治の経験はありません。でも、だからこそ、既得権益にとらわれない新しい政治ができるんです!」

そんなあかねちゃんの姿に、ワイも心を動かされた。

「あかんわ...ワイ、あかねちゃんに投票してまうかも...」

結果は、あかねちゃんの大勝利や!若者を中心に圧倒的な支持を集め、あかねちゃんは都知事になった。

おっさんは青ざめとった。

「もうアカン...これで楽な汁は吸えんわ...」

ワイは内心ほくそ笑んだ。ざまあみろや、クソジジイ!

...でも、その笑顔も長くは続かへんかった。

あかねちゃんは本気で汚職撲滅に乗り出した。そして、ワイらのNPO法人にも目をつけたんや。

「怪しい補助金の流れがある。徹底的に調査します」

ワイは青ざめた。ヤバイで...バレたらどうしよう...。

おっさんが慌てた様子でワイを呼び出した。

「ヤバイ!都の監査が入るらしい」

「えー、どないしますん?」

「お前が全部引き受けろ」

「はぁ!?ワイですか!?」

「当たり前や!お前が理事長やろ!」

ワイは青ざめた。こんなはずやなかったのに...。

監査の日、ワイは必死に弁明した。

「え、えっと...この支出は若者の育成のために...」

審査員は冷ややかな目でワイを見つめる。

「具体的な成果は?」

「それは...まだ...」

ワイの言葉は途切れた。何も言い訳できへん。

結局、不正が発覚して大問題になった。おっさんは知らん顔。全部ワイのせいにされた。

「未熟な若者が暴走しただけや。ワシは知らん」

おっさんのその言葉にワイは激怒した。

「ふざけんな!全部おっさんが...」

でも、証拠は何もない。全部ワイの名義でやっとったからな。

マスコミはワイを袋叩きにした。

「若者の会理事長、公金を私的流用」
「ニート上がりの28歳、億単位の金を着服か」

ワイの人生終わったわ...。

留置所に入れられたワイ。おっさんの差し入れもない。完全に見捨てられたんや。

「くそぉ...なんでワイがこんな目に...」

そんなワイを救ったんは、意外な人物やった。

「私が彼の更生を引き受けます」

都知事のあかねちゃんや。

「彼は被害者でもあります。真の黒幕を追及するため、彼の協力が必要なんです」

あかねちゃんの熱意に、検察も折れた。ワイは執行猶予付きの判決を受けた。

出所後、ワイはあかねちゃんの下で働くことになった。

「ワイくん、あなたの経験を活かして、若者の政治参加を促進する活動をしませんか?」

ワイは驚いた。こんなクソみたいなワイを信じてくれる人がおるんや。

「はい!頑張ります!」

ワイは必死に働いた。本当の意味での若者支援や。イベントを企画したり、講演したり。今度は誠実に、真剣に取り組んだ。

そんなワイの姿を見て、少しずつ信頼してくれる人が増えてきた。

一方、おっさんの方はというと...。

「都議会議員、贈収賄容疑で逮捕」

ワイの証言もあって、ついに逮捕されたんや。

「ワイ...よう頑張ったな」

留置所に面会に行ったワイに、おっさんがしょんぼりと言うた。

「おっさん、ワイはもう公金チューチューせえへんで」

「そうか...」

おっさんは深くため息をついた。

あれから数年、ワイは本物のNPO職員として頑張っとる。給料は安いけど、やりがいはあるで。

「ワイくん、都議会議員選に出てみませんか?」

ある日、あかねちゃんにそう言われた。

「えっ!ワイがですか!?」

「ええ。あなたの経験を活かせば、きっと若者のために良い仕事ができるはずです」

ワイは迷った。でも...。

「やります!今度は正々堂々と戦います!」

こうして、元ニートのワイは、新しい一歩を踏み出すことになったんや。

「公金チューチューは人生の墓場や...これからは、みんなのために頑張るで!」

ワイは固く誓ったのであった。

人生なんて、どないなるかわからへん。でも、正直に生きていけば、きっと道は開けるんや。ワイはそう信じて、明日も頑張るつもりや。

「よーし、明日は早起きや!」

ワイの新しい人生は、まだ始まったばかりやった。