ワイ、今日も元気に起床するンゴ。鏡を見ながら、いつもの「アルファオス顔」を作る練習や。

「ふんっ」

完璧や。これで今日も仕事ができるわ。

せやねん、ワイの仕事はアルファオスの「代行」なんや。要するに、アルファオスになりたいけどなれへん奴らの代わりに、アルファオスのフリをするんや。

合コンとか、同窓会とか、会社の飲み会とか。そういう場所にワイが依頼人の「友達」として参加して、アルファオス感を醸し出すんや。

「よっしゃ、今日も頑張るで!」

ワイは気合を入れて家を出る。今日の仕事は、あるリーマンの同窓会や。

現場に到着すると、依頼人の田中くんが不安そうな顔で待っとったわ。

「あ、ありがとうございます。よろしくお願いします...」

「任せとき!今日はワイがお前をアルファに見せたるで!」

田中くんの肩を叩いて、会場に入るンゴ。

「おっ!田中!久しぶりやな!」

ワイは威勢よく声をかける。周りの奴らがこっちを見るわ。よしよし、注目集めるンゴ。

「こいつが俺の親友の...」

「山田や!山田豪介言うんや。覚えとけよ!」

ワイは田中くんの言葉を遮って、でかい声で自己紹介するンゴ。強気な態度が大事なんや。

「へぇ、田中がこんな凄そうな友達がいるなんて...」

周りの連中がざわつく。ええ感じや。

「田中ん時はよぉ、めっちゃ頼りになる奴やったんや。今じゃ大手企業のエリートやろ?」

ワイは適当に嘘を並べ立てる。田中くんは焦った顔をしとるけど、黙っとれば大丈夫や。

「ほんまに?田中、お前そんな凄かったんか?」

周りの連中が驚いた顔をする。こうやって、依頼人の株を上げるんや。

「まぁ、ワイはもっと凄いで?今じゃ起業して、年商10億や」

さらに大きな嘘を重ねる。でも、これくらい言わんと説得力がないんや。

「すげぇ...」

みんなが感心しとる間に、ワイはさりげなく高級そうな腕時計をちらつかせるンゴ。もちろん偽物や。

「ほんで、彼女の数もハンパないんやで?」

ワイはニヤリと笑う。女性陣が興味深そうにこっちを見てくる。

「へぇ...山田さんみたいな人と付き合ってみたいわぁ」

おっ、こいつはアルファオスに惹かれるタイプやな。ワイはさりげなく近づいて話しかけるンゴ。

「そうか?まぁ、ワイみたいな男はそうそういないで」

謙遜しつつも、自信に満ちた態度を取る。これ大事やで。

しばらくすると、会場の雰囲気が変わってきた。みんながワイの周りに集まってきとる。田中くんも、なんとなくカッコよく見えてきたみたいや。

「田中、お前すげぇ友達持ってんな」
「うちの会社に来ない?」
「今度飲みに行かへん?」

周りから声がかかる。田中くんは嬉しそうな顔をしとるわ。ワイの仕事、順調や。

でも、こういう時に気を抜いたらアカンのや。油断すると、ボロが出る。

「あの、山田さんって何の会社を経営されてるんですか?」

おっと、鋭い質問や。でも、ワイには対策があるんや。

「それは企業秘密や。言うたら殺さなアカンくなる」

ニヤリと笑いながら答える。相手は怖気づいて、それ以上聞いてこんくなった。

こうやって、細かい質問は濁すんや。具体的なことを言えば言うほど、嘘がバレるリスクが高くなる。

そんなこんなで、同窓会は大成功や。田中くんの株はめっちゃ上がったし、ワイもそこそこモテたで。

帰り際、田中くんが涙目でワイに言うた。

「ありがとうございました!おかげで、みんなに認められた気がします...」

「当たり前や。ワイのアルファオス演技は完璧なんや」

誇らしげに胸を張る。でも、内心では複雑な気分なんや。

家に帰って、鏡を見る。そこにいるのは、アルファオスの仮面を被ったただのしがないオッサンや。

「はぁ...」

深いため息が出る。こんな仕事、いつまで続けられるんやろ。

でも、明日にはまた別の依頼があるんや。ワイは再び「アルファオス顔」の練習を始めるんや。

「ふんっ」

明日も、誰かのアルファオスになるんや。それがワイの仕事や。

でも、本当はこんな仕事辞めたいんや。自分らしく生きたいんや。でも、これしか能がないんよな...

そんなことを考えながら、ワイは布団に入る。明日はまた、別の誰かのアルファオスになるんや。

そして数日後、ワイに思わぬ依頼が来たんや。

「アルファオスの代行として、結婚式に出てほしい」

おいおい、さすがにそれは無理やろ...と思ったんやけど、依頼人の必死な顔を見たらなんか断れへんかってん。

「わかった、引き受けたるわ」

ワイは重い腰を上げて、結婚式の準備を始めるんや。これが最後の仕事や。この後は、アルファオス代行なんて辞めて、普通に生きていくんや。

結婚式当日、ワイは花婿の親友として参列するんや。新郎新婦を祝福するスピーチも任されてもうた。

「新郎とはな、小学校からの付き合いでな...」

ワイは適当に話を作って喋り始めるんや。でも、途中で気づいてもうた。これ、ホンマにええんかって。

「...いや、すまん。嘘つくのはもうやめや」

会場がシーンとなる。ワイは深呼吸して、本音を話し始めるんや。

「実はな、ワイはアルファオスの代行をする仕事をしとってん。今日もそのつもりで来たんや。でも、こんな大切な日にウソつくのはアカンと思うてな」

会場がざわつく。新郎が驚いた顔でワイを見つめとる。

「でもな、新郎。お前はワイみたいなニセモノに頼らんでもええんや。お前の良さは、ありのままの姿にあるんやで」

ワイは新郎に向かって言う。新郎の目に涙が光る。

「これからは自信持って生きていけ。嫁はんもお前のありのままを愛しとるんやから」

そう言って、ワイは会場を後にするんや。もう二度と、アルファオスなんて偽らへん。ワイはワイのままで生きていくんや。

それから数ヶ月後、ワイは普通のサラリーマンとして働いとる。たまに昔の仕事を思い出すこともあるけど、今の方が断然ええわ。

ありのままの自分で、精一杯生きる。それが一番のアルファオスなんやって、今のワイは思うんや。