前回
ワイはヘミングウェイの『インディアンキャンプ』を読んでから釣りに行った【なんJ語小説】


前回の川釣りから2ヶ月経った頃や。ワイとオッサンは毎週のように川で釣りしながら、ヘミングウェイの話で盛り上がっとった。

ある日、オッサンが言い出したんや。

「おい、今度は海釣り行かへんか?」

ワイはビビった。「海釣り?ワイ、泳げへんのですけど...」

オッサンは笑いよった。「アホ、泳ぐんやないわ。船に乗って釣るんや」

ワイは悩んだ。でも、ヘミングウェイなら行くやろ...そう思って、「行きます!」って答えてもうた。

その日の夜、ワイはなんJにスレ立てした。

「ワイ、明日オッサンと海釣り行くんやが」

「マジか」
「ヘミングウェイかよ」
「死ぬなよ」

心配するレスもあったけど、ワイは意気揚々としとった。

翌朝、めっちゃ早起きして、オッサンと待ち合わせ場所に向かった。

オッサンの車で港まで行って、そこで小さな釣り船に乗った。船長はオッサンの知り合いらしかった。

「よっしゃ、出発や!」

船が動き出した瞬間、ワイは後悔し始めた。だって、めっちゃ揺れるねん。

「オッサン、ワイ、気持ち悪なってきた...」

オッサンは笑いながら言った。「まあ、そうなるわな。ほれ、これ飲め」

渡されたのは酔い止めの薬やった。ありがたく飲んだけど、あんまり効果なかったわ。

1時間くらい沖に出たところで、船が止まった。

「よし、ここで釣るで」

オッサンは手慣れた様子で釣り竿をセットし始めた。ワイも真似しようとしたけど、船が揺れて全然うまくいかへん。

「あかん、ヘミングウェイに笑われるわ...」

そう思いながら、なんとか竿をセットできた。

「ほな、投げるで!」

ワイは思い切り竿を振り上げた。でも、そのせいで体のバランスを崩して、あやうく海に落ちそうになってもうた。

「おいおい、気をつけろよ」オッサンが笑いながら言う。

なんとか体勢を立て直して、釣りを始めた。でも、全然釣れへん。

1時間経っても、2時間経っても、魚の気配すらない。

「なあオッサン、これヘミングウェイの『老人と海』みたいになってまうんちゃうか?」

オッサンは笑った。「まだまだや。あのジジイは何日も粘ったんやで」

そう言われても、ワイはもうグッタリやった。船酔いもひどくなってきて、「もう帰りたい」って思い始めた。

そんな時や。

「おい!来たで!」

オッサンの竿が大きく曲がった。

「でかいぞ!手伝え!」

ワイは慌てて立ち上がった。でも、船が揺れて、またもやバランスを崩す。

「あかん!」

ワイは海に向かって倒れかけた。その瞬間、オッサンがワイの服を掴んで引っ張り戻してくれた。

「危ないやつやな。ほれ、竿持て」

ワイはオッサンの竿を受け取った。めっちゃ重い!

「引っ張れ!」

オッサンの指示に従って、必死で竿を引っ張る。すると、海面から大きな魚が飛び出した!

「ブリや!でかいで!」

オッサンが興奮しながら叫ぶ。ワイも興奮してきた。

「ヘミングウェイ見とるか!?ワイら、でかい魚釣ったで!」

30分くらい格闘して、やっとのことでブリを釣り上げた。80cmくらいあるでかいやつや。

「やったで!」

ワイとオッサンはハイタッチした。船酔いのことなんか、もう忘れてもうた。

その日の夜、ワイはなんJに釣った魚の写真を貼った。

「ワイ、オッサンと海釣り行って、でかいブリ釣ったで!」

「うおおおお」
「ヘミングウェイかよ」
「ニートの覚醒が止まらん」

なんJは大盛り上がり。ワイは誇らしかった。

次の日、オッサンから電話がかかってきた。

「おい、次は『老人と海』みたいにカジキ釣りに行くか?」

ワイは迷わず答えた。「行きます!」

そして、なんJにまたスレ立て。

「ワイ、次はカジキ釣り行くで」

「草」
「もうヘミングウェイやん」
「次は本でも書けよ」

ワイは思った。ヘミングウェイの『インディアンキャンプ』読んでから、ワイの人生変わったんや。

これからもオッサンと一緒に、いろんな釣りに挑戦していくで。そして、いつかワイも『ニートと海』みたいな本を書けたらええな。

ほんで、ワイの次の章はもう決まっとるで。

『ワイ、カジキと格闘す』