ワイかって?ニートや。もう5年も働いてへんのや。親はワイのこと心配しとるけど、ワイには分かっとる。ワイがニートなのは、決定論のせいなんや。

『ニートの言い訳は決定論に決定』

ある日の昼下がり、ワイはいつもの如くパソコンの前に座っとった。なんJを見ながら、ふと思いついた。「そうや、ワイがニートなのは決定論のせいなんや」って。

早速なんJにスレ立てや。

「ワイニート、決定論を信じることにした」

すぐにレスが付き始めた。

「草」
「お前それただの言い訳やろ」
「哲学ニキ来てくれや」

ワイは必死に説明を始めた。

「違うんや、よく聞いてくれ。全ての事象には原因があるやろ?その原因にも原因があって、それが延々と続いとるんや。つまり、ワイがニートになったのも、生まれた時から決まっとったってことやないか?」

すると、哲学ニキらしき奴が現れた。

「おもろいこと言うとるやないか。でも、それやったら人間の自由意志はどないなるんや?」

ワイは得意げに答えた。

「自由意志なんてあらへんのや。全ては因果の連鎖で決まっとる。ワイらがニートなのも、働いとる奴らが働いとるのも、全部決まっとったことなんや」

すると、別のニキが突っ込んできた。

「ほな、お前が今なんJしとるのも決まっとったことなんか?」

「せやで」ワイは即答した。「ワイがなんJを見るのも、お前がそのレスをするのも、全部決まっとったんや」

議論は白熱していった。ワイは必死に決定論を擁護する。だって、これが最後の砦やったからな。

そんな中、突然スレに現れたのは、なんJでは珍しいマッマやった。

「アンタ、いい加減働きなさい!」

ワイは焦った。マッマにバレてもうた...。でも、ここで引くわけにはいかへん。

「マッマ、悪いけど、ワイがニートなのは決定論で決まっとることなんや。だから、働けへんのや」

マッマの反応は意外やった。

「そうなの?じゃあ、アンタが働かないのも仕方ないのね」

ワイは一瞬戸惑ったけど、すぐに調子に乗った。

「せやろ?ワイがニートなのは宿命なんや。だから責められへんのや」

すると、マッマは意地悪そうに笑った。

「そう。じゃあ、アンタの食事がないのも決定論ってことね」

ワイは焦った。「ちょ、待ってマッマ。そこまでは...」

でも、マッマは容赦なかった。

「アンタの言う通り、全ては決まってるのよ。だから、アンタに食事を与えないのも、私の決定じゃなくて、決定論なのよ」

ワイは絶句した。自分の理論が自分に牙を剥いた瞬間やった。

その日から、ワイの生活は一変した。マッマが本気で食事を止めてきたんや。冷蔵庫は鍵がかけられ、コンビニに行く小遣いももらえへん。

ワイは必死になんJに助けを求めた。

「マッマが決定論を逆手に取ってきた!助けてクレメンス!」

レスは殺到した。

「自業自得やぞ」
「決定論通りや」
「働け」

誰も味方してくれへん。ワイは飢えと戦いながら、必死に考えた。

そして、一週間後。ワイは意を決して、ハローワークに向かった。

なんJに最後の書き込みをする。

「決定論に従って、ワイ、就職することに決定」

レスが付く。

「おめでとう」
「エエことや」
「決定論やったんやな」

ワイは苦笑いした。結局、決定論を信じるのも、それを捨てるのも、全て自分次第やったんや。

そして、ワイは気づいた。決定論を信じるか信じへんかは、結局自分で決めることなんや。その「決定」すら、自分の意志でできるんや。

ワイは深呼吸して、ハローワークのドアを開けた。新しい人生の始まりや。決定論のせいにせず、自分の人生は自分で決めていくんや。

それでも、たまになんJは見るけどな。だって、それもワイの「決定」やからな。