ワイこと山田、28歳無職。小説家になるのが夢やけど、才能ゼロの模様。でも諦めへんで!

「よっしゃ、今日こそは傑作が生まれるで!」

ワイはパソコンの前に座り、意気揚々とキーボードを叩き始めた。

「主人公の太郎は〜」

......

「太郎は〜」

..........

「くっそ!全然アイデアが出てこーへん!」

3時間経っても、画面には「太郎は」の3文字だけ。ワイの脳みそ、完全にフリーズしてもうた。

「あかん...今日もダメか...」

ため息をつきながら、ワイはなんJを開いた。

「小説が全然書けへんのやが」

そう書き込んだら、すぐにレスがついた。

「お前に才能はない」
「諦めろ」
「現実見ろや」

さすがなんJ民、容赦ないで。でも、その中に1つ気になるレスがあった。

「毎日書き続けろ。才能なくても努力でなんとかなる」

ワイは目が覚めた気がした。そうや、諦めたらアカンのや。

翌日から、ワイは必死で小説を書き始めた。テーマは「なんJ民の日常」。ワイの知っとる世界や。

「ある日のなんJ。いつものようにクソスレが立ち並ぶ中、1つの告白スレが立った」

おっ、なんか書けてきたで!

「ID:love123『ワイ、告白しようと思うんやが』
ID:advi456『どんな子や?』
ID:love123『なんJ民や...』」

ワイは夢中で書き続けた。なんJ民同士の恋愛物語や。滑稽やけど、なんかワクワクする。

1週間後、ワイは初めて1つの短編を書き上げた。タイトルは「ID:LOVEの告白」。自信はないけど、なろうに投稿してみた。

「どうせ誰も読まへんやろ...」

そう思いながら、ワイはベッドに潜り込んだ。

翌朝、恐る恐るパソコンを開いたら...

「おもしろかったで!」
「続き頼むで!」
「なんJ民の恋愛とか草」

コメントが20件も付いとる!ワイ、小躍りしてもうた。

「よっしゃ!これで小説家デビューや!」

...と思ったのもつかの間。

「文章力なさすぎ」
「誤字脱字多すぎ」
「設定がありえん」

厳しい意見も山ほどあった。でも、ワイは気にせえへん。だって、誰かが読んでくれたんや。

それからワイは毎日必死で書いた。朝から晩まで、休憩なしや。

「なんJ民が異世界転生したら」
「なんでも実況(A)の日常」
「クソスレ立て職人の憂鬱」

どの作品も大して評価されへんかったけど、ワイは書き続けた。

半年後、ようやく100人くらいのフォロワーができた。大したことないけど、ワイにとっては大きな一歩や。

ある日、ワイの作品にこんなコメントが付いた。

「お前の小説、最初はクソやったけど、なんか段々良くなってきとるで」

ワイ、思わず涙が出そうになった。努力が報われた気がしたんや。

それからも、ワイは毎日書き続けた。たまにはバイトもして、生活費を稼ぎながらな。

1年後、ワイの「なんJ語で綴る平成史」ってシリーズが、なろうでちょっとした話題になった。

「斬新な視点やな」
「なんJ語で歴史語るとか草」
「意外と勉強になるで」

フォロワーも1000人を超えた。小さいけど、ワイにとっては大きな成果や。

2年目に入ったある日、ワイのもとに1通のメールが届いた。

「あなたの作品に興味があります。一度お会いできませんか?」

差出人は、大手出版社の編集者やった。

ワイ、思わず飛び上がってもうた。夢やないよな?何回も目をこすった。

「やった!ついに日の目を見たんや!」

...

......

.........

「ID:auth0r『ワイの小説、どないや?』」
「ID:read1『おもろかったで!』」
「ID:read2『次も楽しみにしとるで!』」
「ID:troll3『んなわけあるかボケ!お前みたいなヒキニートが出版社から声かかるわけないやろ!現実見ろや!』」

...せや、これ全部ワイの妄想や。出版社からのメールなんてまだまだ来るわけないんや。

でもな、ワイは諦めへん。才能はないかもしれん。でも、努力なら誰にも負けへん。

ワイはまた今日も、パソコンに向かう。「太郎は〜」って書いて、消して、また書く。

小説家になる夢は、まだまだ遠い。でも、ワイは書き続ける。だって、これがワイの人生や。

「小説の才能はなくても、ワイは書き続けるで!」

そう叫びながら、ワイは今日もキーボードを叩き続けるのであった。