ワイ、「アルファオス」言われて震えるんや。そんなもん、存在せえへんって分かってても、なんか背中にゾワッとするもんがあるんや。

深夜のオフィス。パソコンの青白い光が、ワイの顔を不気味に照らしとる。残業なんて誰もおらんはずなのに、なんでワイだけおるんやろ。

「カタッ…カタッ…」

ふと、廊下から微かな足音が聞こえてきた。ワイ、思わず息を呑む。「誰かおるんか?」って声を掛けようとしたけど、喉が渇いて声が出えへん。

その時や。ワイの背後から、低く唸るような声が聞こえてきた。

「お前はベータだ」

ワイ、ビクッと体が跳ねた。振り返ると、そこには…何もおらん。でも、確かに誰かの気配がしたんや。

「な、なんやねん…」

ワイ、震える手でスマホを取り出す。「アルファオス」ってググってみたんや。すると、画面に映し出されたのは…

「グループの中で最も強く、支配的な個体」

ワイ、思わず吹き出しそうになった。なんやねん、そんなもん。でも、なんでか分からんけど、凄まじい恐怖が込み上げてくるんや。

「お前はベータだ」

また、その声や。今度は、はっきりと聞こえた。ワイ、ゆっくりと振り返る。

そこには、黒い影がぼんやりと立っとった。人の形をしとるけど、顔がない。ただ、目だけがギラギラと光っとる。

「やめてくれや…」

ワイ、震える声で懇願する。でも、影は少しずつワイに近づいてくる。

「お前はベータだ。俺がアルファだ」

影が言葉を紡ぐたびに、オフィスの温度が下がっていくような気がした。ワイ、必死に逃げようとするけど、体が動かへん。

「な、なんでワイなんや…」

ワイ、泣きそうになりながら聞く。影は、ニヤリと笑ったように見えた。

「お前が弱いからだ」

その瞬間、影がワイに襲いかかってきた。ワイ、悲鳴を上げようとしたけど、声が出えへん。影がワイの体を包み込んでいく。

「これからお前は、永遠に俺の影だ」

ワイ、意識が遠のいていく中で、自分の体が影に飲み込まれていくのを感じた。

次の日の朝。オフィスに出勤してきた同僚たちは、いつもと変わらないワイを見て、何も気づかなかった。

でも、ワイは変わってしまったんや。もう、あのワイやない。影に飲み込まれた、アルファオスの影なんや。

ワイ、みんなの前で笑顔を作る。でも、その目は虚ろや。心の中では、ずっと叫んどる。

「助けてくれ…誰か…ワイを助けてくれ…」

でも、誰も気づかへん。ワイの悲鳴を、誰も聞いてくれへん。

そして、夜になると…また、あの影が現れるんや。

「良くやった、ベータ」

影が、ワイの耳元でささやく。ワイ、もう抵抗する力もない。ただ、涙を流すだけや。

これが、ワイの新しい日常になってしもた。アルファオスの影として生きていく、永遠の地獄や。

誰か、気づいてくれへんかな。ワイが、もうワイやないって。でも、きっと誰も気づかへんのやろな。だって、ワイは影なんやから。