シローとリーリャは精霊の森を探索していた かつてこの地にはエルフの里があったという 森の奥深くに足を踏み入れたその時 ドワーフの群れが襲ってきた

「シロー 気をつけて! ドワーフたちは魔王の手下よ」 リーリャが剣を抜く 

「ははっ 全員一発だ」 シローはグローブを握りしめ 戦闘態勢に入った

ドワーフたちと戦うシローとリーリャ だが数の不利は覆せない その隙にリーリャが捕らわれてしまう

「リーリャ!」 シローが叫ぶ 

「シロー 助けて!」 リーリャの悲鳴が森に響く

「待ってろ リーリャ 必ず助け出す!」 シローは怒りに震える

ドワーフたちは魔王の配下となり 精霊の森を占領していた  

リーリャを奪還するため シローはドワーフの村へ乗り込む

「お前らいつまでこんなことやってる 魔王なら もう倒したはずだぞ」 シローは啖呵を切る 

「何?お前が魔王を倒したと?証拠を見せてみろ」 ドワーフたちは疑い深く言う

「よし 証拠ならいくらでも見せてやる」 シローは不敵に笑う 

「ならば サークリングで勝負だ 我ら10人と戦え」 ドワーフの族長が告げる

「サークリング?」 シローは首を傾げる 

「魔法陣で仕切られた円形の場所での殴り合いのことだ」 族長は不気味に笑う こいつバカか? 丸いリングのボクシングってことじゃねえか

サークリングが始まった 最初のドワーフが前に出る 

「おい 話が違うぞ 10人一緒に戦うんじゃないのか?」 シローは不満げだ

ザワつくドワーフたち 息を呑む者もいる

「やれ!」 族長が命じる

一斉に10人のドワーフがシローに襲いかかる 

パンパンパンパンパン・・・・・・・ 

シローは横一列のドワーフをジャブのワンパンで薙ぎ倒していく みんな棒のように倒れていった しょせん身長が150cmもないチビ達 階級が5つ以上違うならこんなものだ

「す すまなかった 本当にお前が魔王を倒したのか」 ドワーフたちは恐怖に震える 

「分かればよろしい」 シローは涼しい顔で言う

こうして精霊の森はエルフたちの手に戻った

 平和が戻ったかに思われたが そこに一人の女ドワーフが近づいてくる 

「あ あなたのパンチ すごいわ」 彼女はシローに恋心を抱いているようだ

「ああ まあな」 シローは照れくさそうに返す

「私の名前はタヌカナ タヌキみたいな顔だからそう呼んで」 女ドワーフは頬を赤らめる

その様子を見ていたリーリャは ヤキモキし始める 

「ちょっとシロー!浮気は許さないわよ!」 リーリャはシローの腕を掴む

「ち 違うってリーリャ 俺はお前一筋だって」 シローは必死に説明する

「私の方がシローさんにはお似合いだわ」 タヌカナがリーリャを挑発する 

「な!?ふざけないでよ このタヌキ!」 リーリャの怒りが爆発しそうだ

ドワーフたちはその様子を面白そうに眺めている 

「族長 あの人間 なかなかモテるな」 

「うらやましい限りだ」

シローは二人の女性に挟まれ 困惑している 

「落ち着いてくれ 二人とも」 シローは宥めようと必死だ 

「シロー!選ぶのよ 私かこのタヌキか!」 リーリャが迫る 

「そ それは・・・」 シローは冷や汗をかく

「シローさん 私を選んで!」 タヌカナが甘える 

「わ 私だってシローのことが好きなの!」 リーリャも負けじと訴える

ドワーフたちは大笑いしている 

「なんて面白い展開なんだ!」 

「人間のすることは分からないな!」

シローは頭を抱える こんなはずではなかったのに・・・ 

「族長 なんとかしてくれ」 シローは助けを求める 

「フフフ 私には良い考えがある」 族長が意味ありげに言う

「え?なんだって?」 シローの顔が青ざめる 

「二人の想いを試すのだ サークリングでな」 族長が笑みを浮かべる 

「ええっ!?」 シローリーリャタヌカナが揃って叫ぶ

「ま まさか・・・」 シローの顔から血の気が引く 

「私は構わないわ だって私の愛はノッポの色白女より強いもの」 タヌカナは承諾する 

「私だってちんちくりんには負けないんだから!」 リーリャも怯まない

波乱の予感に満ちたシローの異世界冒険譚 新展開の幕が切って落とされた 

はたして シローの決断は・・・ リーリャとタヌカナ 二人の想いの行方は・・・