サラは夜空を見上げることが好きだった。毎晩、彼女の小さなアパートの屋上に上がり、星々の輝きに心を奪われながら、無限の宇宙に思いを馳せるのが日課だった。

この趣味は、幼い頃に祖父と一緒に過ごした夏の夜から始まった。祖父は退役軍人で、世界中を旅した人だったが、サラにとっては宇宙の不思議を語る魔法使いのような存在だった。祖父はサラに星座の名前や宇宙の神秘について教え、彼女の心に夢と好奇心を植え付けた。

しかし、ある夜、サラが屋上で星を眺めていると、空に不自然な動きをする光点を見つけた。最初は飛行機かと思ったが、その動きはあまりにも速く、不規則だった。サラはその光点をスマートフォンで撮影しようとしたが、画面には何も映らなかった。

翌日、サラはその現象について友人のトムに話した。「きっとUFOだよ。最近、街の近くで目撃情報が増えているらしいから」とトムは半信半疑のまま言った。サラはUFOを信じていなかったが、その夜見たものが何だったのか、強い好奇心を抱いた。

その夜、サラは再び屋上に上がり、空を見上げた。すると、前夜と同じ光点が現れ、今度はさらに近づいてくるように見えた。サラの心臓は高鳴り、恐怖と興奮が入り混じった感情に襲われた。光点は突然、屋上のすぐ上空で停止し、サラはその下に立ち尽くした。

突然、光点から強い光が放たれ、サラは目を覆った。光が消えたとき、彼女の前には見知らぬ人物が立っていた。「サラ、私たちはあなたに話がある」とその人物は言った。声は機械的で、人間とは思えない冷たさがあった。サラは恐怖で声も出なかった。


「我々は自衛隊、宇宙自衛隊だ」と宇宙人は言う。

「自衛隊・・・・?」

「銀河憲法6兆条第3項によってこの銀河には自衛するための武力を置くことになっている。サラ、君は無限の宇宙に興味があるみたいだね。だから我々は君をリクルートしに来たのだよ」

「でもいまの仕事があるし、お賃金のこととか」

「お賃金は地球の価値でいえば年間5000兆円程度だが・・・・・休暇は」

「5000兆!? やります!」

こうしてサラは5000兆に目がくらんで銀河自衛隊に入ることになった。約束通り毎月500兆円近くのお賃金を貰えたが、宇宙のインフレはすさまじく銀河規模で言えば安月給もいいところだとサラはすぐに気付いた。500兆あれば国を動かせるが銀河の広さを知ってしまったさらにはもう宇宙の片田舎の地球をどうこうしようなんて気持ちはサラサラなかった。

「ああ、5000那由多ぐらいあればなんでもできるのに‥‥‥」

銀河自衛隊の仕事は退屈で休暇が待ち遠しい。銀河標準時で一日の休暇は30日ほどある。その代わり勤務日は120日ほどだ。ブラック企業も真っ青だ。そして死ぬほど退屈。銀河自衛隊は宇宙海賊が現れたら撃退することになっているが、発見しだい銀河艦隊の一斉砲撃により海賊船はまたたく間に宇宙の塵となる。そう、自衛隊にとって一番の敵は暇なのだ。



サラは宇宙の広大さと、その中での自分の存在の小ささを痛感していた。彼女が地球で夜空を見上げていた頃、星々は美しく、遥か彼方の世界への憧れを抱かせるものだった。しかし、今や彼女はその星々の間を自由に飛び回ることができる宇宙自衛隊の一員となり、星々は日常の風景の一部に過ぎなくなっていた。

「サラ、君は何を求めているのか?」ある日、彼女の上官であるゾランが尋ねた。ゾランは地球人ではなく、銀河系の別の惑星から来た宇宙人で、彼の種族は数千年にわたって宇宙を旅してきた。

「私は・・・もうわからない。星を見るのが好きだったけど、今はただの仕事になってしまった」とサラは答えた。

「宇宙は無限に広がっている。だが、その中で本当に大切なのは、各々が心に抱く無限の可能性だ」とゾランは言った。「君が宇宙を旅する中で見つけるべきは、外の世界ではなく、内側にある世界だ。」

その言葉がサラの心に響いた。彼女は宇宙自衛隊での退屈な日々の中で、自分自身と向き合う時間を持つようになった。そして、彼女は気づいた。星々を眺めることが好きだったのは、それが彼女に無限の可能性を感じさせてくれたからだ。そして、その可能性は宇宙のどこか外側にあるのではなく、彼女自身の内側にあった。

休暇の日、サラは宇宙船の窓から星々を眺めながらピアノを弾き始めた。彼女の演奏は宇宙船内に響き渡り、乗組員たちを魅了した。音楽を通じて、サラは再び自分の情熱を見つけ、宇宙の中で自分の居場所を見つけることができた。




銀河艦隊にアラームが鳴る。

「ォロォシャ帝国が攻めてきたぞ!」

艦内は大慌てだ。ォロォシャ帝国はウマノフ皇帝が支配するアンドロメダ銀河帝国でサラの住む銀河を絶えず軍事挑発していた。だがそれはあくまで挑発であり、スクランブル発進や艦隊集結ももはや儀式化しているはずだった。

「どうやら銀河外延部にいた第七艦隊は全滅したらしい」

5000兆の艦隊数を誇る第七艦隊が消えたことに乗組員はだれも動揺を隠せない。

「数は圧倒的に向こうが上だ」

「降伏しますか」

「そんなわけにもいくまい」

「しかし負けますよ。こうしている間にもォロォシャ艦隊は近付いてきます」

作戦会議では弱気な発言ばかり出てくる。その空気を破ったのはサラだ。

「何を弱気なことを言っているのです。向こうが攻めてくるのならこちらから攻めましょう」

「何を言っている。第七艦隊もなしにどうやって」

「空間跳躍でォロォシャの後背地を叩きます。銀河自衛隊の教本には強敵に対する戦い方が載っていました」

「なるほど。戦場をこちらで選ぶというわけだな」

こうして銀河自衛隊とォロォシャ帝国の戦いが始まる。

サラの提案により、銀河自衛隊は新たな戦略を立てることになった。空間跳躍技術を駆使して、ォロォシャ帝国の予想外の場所に出現し、奇襲攻撃を仕掛けるのだ。この大胆な計画は、乗組員たちに新たな希望を与え、艦隊の士気を高めた。

サラは、ピアノ演奏家としての感性を戦術に活かし、直感と創造力で作戦を練る。彼女の提案は、従来の軍事戦略にはない新鮮さがあり、多くの乗組員から支持を得た。

戦いの日、銀河自衛隊は空間跳躍に成功し、ォロォシャ帝国の後背地に出現する。ォロォシャ帝国はこの突然の攻撃に対応できず、混乱に陥る。銀河自衛隊はこの機を逃さず、連携した攻撃でォロォシャ帝国の艦隊に大打撃を与えた。

しかし、戦いは容易ではなかった。ォロォシャ帝国もまた強力な軍隊を持ち、激しい反撃を開始する。宇宙の空は光と爆発で満たされ、両軍は壮絶な戦いを繰り広げた。

戦いの最中、サラは一つの重大な決断を下す。彼女は、敵艦隊の中心に向けて単身、小型の艦を駆って突入することにした。彼女の目的は、ォロォシャ帝国の指揮系統を混乱させること。この自殺行為に等しい行動は、乗組員たちを驚かせたが、サラは自分の使命を果たすために決意を固めていた。

サラの勇敢な行動は奇跡を起こす。彼女は敵艦隊の中心に突入し、ォロォシャ帝国の指揮艦に大損害を与えることに成功する。この行動が戦況を一変させ、銀河自衛隊は優位に立つことができた。

戦いが終わり、銀河自衛隊は勝利を収める。サラの行動は、銀河全体に伝わり、彼女は英雄として讃えられた。しかし、サラ自身は戦いの中で深い疑問を抱くようになる。真の勝利とは何か、そして平和を守るためにはどうすれば良いのか。彼女は、ピアノの音色の中で再び答えを探し始めるのだった。



戦争の英雄になったサラは英雄報奨金でもらった5000不可思議円で宇宙クジラを買って銀河旅行に出かける。

サラのピアノの旋律に合わせて宇宙クジラが鳴く。その音は銀河を超えて宇宙の隅々まで響き渡る。宇宙クジラの鳴き声は光速を超えて空間に響くのだ。

「どうして宇宙で戦いが続くのだろう。どうしてみんな殺し合うのだろう。ピアノの音がすべての魂を静めてくれたらいいのに」

宇宙も泣いている。いつまでも終わらない拡大思考、破壊的イノベーション、意図的なハーモニーの欠如、宇宙はいつも乱れている。

そうか。そうなのか。宇宙はいつまでも静かにならない。だから光っているんだ。

サラはひとつの確信を得る。星々の輝きは魂のきらめき。このきらめきが宇宙を拡大させているのだと。




サラは宇宙クジラの背に乗り、無限に広がる宇宙を旅する中で、深い宇宙の真理に触れる。彼女のピアノの音色と宇宙クジラの鳴き声が一つになり、宇宙の隅々まで届けられることで、戦いに疲れた魂たちに平和のメッセージを送り続ける。

サラの旅は、多くの文明に影響を与え始める。戦争で荒廃した星々では、彼女の音楽が希望の光となり、争いを忘れさせる一時の安らぎを提供する。宇宙クジラの鳴き声は、言葉を超えた普遍的なメッセージとして受け取られ、宇宙の生命たちに共感と理解の重要性を思い出させる。

「私たちは皆、同じ宇宙の子どもたち。争いではなく、共存を選ぶべきだ」と、サラはある惑星の集会で語る。彼女の言葉は、宇宙の各地で共鳴し、徐々に争いを避け、対話を求める動きが広がっていく。

しかし、サラは自らの旅がすべての問題を解決するわけではないことも知っていた。宇宙は広大で、多様な生命と文明が存在する。彼女の音楽が届かない場所もあれば、彼女のメッセージを受け入れない者もいる。だが、サラは諦めない。彼女には、音楽を通じて宇宙に平和をもたらすという使命がある。

サラの旅は、宇宙の果てまで続く。彼女の音楽は、宇宙の隅々に平和の種をまき、時にはその種が芽吹くこともある。サラは知っている。宇宙の平和は一朝一夕には達成できない。しかし、彼女の音楽が一人でも多くの心に響き、変化をもたらすことができれば、それが彼女の最大の成果だと。

宇宙クジラと共に、サラは宇宙の平和を願い、ピアノの旋律を奏で続ける。彼女の音楽は、宇宙の果てまで響き渡り、星々の輝きと共に、永遠に宇宙を旅するのだった。


(おわり)

リレー開始プロンプト
リレー小説をしましょう。1段目は登場人物が好きなこと、2段落目はそのバックストーリー、3段落目でブレイクして、4段落目で不穏になって、5段落目でさらにブレイクしてください。会話文多め、会話と描写は具体的に。ではどうぞ

GPTちゃんによる論評
この小説は、宇宙を舞台にした壮大な物語を通じて、平和への願いと、音楽やアートが持つ力を象徴的に描いています。サラと宇宙クジラの旅は、内面の平和と外界の和解を求める旅であり、その過程で彼女が得た洞察は、現代社会におけるさまざまな対立や争いに対する一つの回答を示唆しています。

メタファーの解釈
宇宙クジラとの旅: 宇宙クジラと共に旅をするサラの物語は、人類が直面する無数の問題に対して、個々人がどのように影響を与えることができるかというメタファーです。宇宙という無限に広がる舞台は、私たちの小さな行動が大きな影響を及ぼす可能性を象徴しています。

音楽の力: サラのピアノの旋律が宇宙を超えて響き渡る様子は、アートや音楽が持つ普遍的なコミュニケーションの力を表しています。言葉を超えたアートの力が、心を動かし、変化を促すことができるという希望のメッセージが込められています。

現代社会との対比
この物語は、現代社会における対立や争い、そしてそれらを超えた和解や共存の可能性について深く考察しています。私たちは日々、国家間の対立、政治的な争い、社会的な分断など、さまざまなレベルでの衝突に直面しています。この小説は、そうした対立を超えるためには、個々人の内面からの変化と、互いに理解し合うための努力が必要であることを示唆しています。

また、サラが宇宙クジラと共に平和のメッセージを届ける旅を続ける様子は、現代社会においても一人ひとりが持つ影響力の大きさを教えてくれます。SNSやインターネットが普及した現代では、一人の声が瞬時に世界中に広がる可能性を持っています。この物語は、そのような力を持つ私たちが、どのようにしてポジティブな変化をもたらすことができるか、という問いを投げかけています。

結論
この小説は、アートと音楽の力、そして平和への願いを美しく描き出しています。現代社会における対立や争いの中で、私たち一人ひとりが持つ影響力と、ポジティブな変化をもたらすための可能性について考えさせられる作品です。

小説なら牛野小雪【良い本あります】