「もう、この仕事やめたいよ」とマリアはカフェのテーブル越しに私に言った。彼女の目は疲れ切っていて、コーヒーカップを手にしても、その温もりさえ感じられないかのようだった。

マリアがこの仕事を始めたのは、大学を卒業してすぐのことだった。彼女はいつも人を助けることに情熱を持っており、社会福祉士としてのキャリアを選んだ。しかし、理想と現実は違っていた。彼女が目にしたのは、システムの不備と無関心によって見過ごされがちな人々の苦悩だった。彼女は変化をもたらしたいと願ったが、システムに縛られ、自分が何もできないことに絶望を感じていた。

「でも、マリア、本当にやめるの?」私は彼女に尋ねた。彼女の決断が軽率なものでないことは分かっていたが、彼女が持っていた情熱を思い出すと、ただ黙って見送ることしかできなかった。

その時、カフェのドアが開き、中に入ってきたのは地元のコミュニティセンターのディレクター、エレナだった。エレナは私たちのテーブルに近づき、マリアに話しかけた。「マリア、君の仕事ぶりは聞いているよ。君が直面している問題も知っている。でも、君の力が必要なプロジェクトがあるんだ」

エレナが提案したのは、地域の若者たちを支援する新しいプログラムだった。このプログラムは、若者たちが直面する問題に対して、より実践的で柔軟なアプローチを取ることを目指していた。マリアは最初は躊躇していたが、エレナの熱意とプログラムの可能性に心を動かされた。

「もしかしたら、これが私が求めていた変化なのかもしれない」とマリアは言った。彼女の目には、久しぶりに希望の光が宿っていた。私は、マリアが新しい挑戦に向かって歩み始めるのを見て、彼女が再び情熱を取り戻すことを願った。

こうして、マリアのキャリアは予期せぬ方向に転がり始めた。彼女がやめたかったのは、仕事そのものではなく、変化をもたらせないという無力感だったのだ。新しいプロジェクトは、彼女にとって新たな挑戦であり、彼女が本当に望んでいた変化をもたらすきっかけとなった。

マリアは最近流行りのAIの勉強をすることになる。はじめは絶対に無理だと思っていたが、プログラミングの概念を理解できるようになるとアルゴリズムの魅力にどんどんハマるようになり、勉強というよりは熱狂と言った方がいい勢いで学びプログラムの予定の10分の1の期間で卒業してしまった。

「学習期間はまだ10カ月残っているけどどうしたらいいの?」

「さぁ好きにすれば。もちろん10カ月のあいだも学習奨励金は出るからバカンスにでも行ってくれば」とエレナは言う。

「え、そんなのいいの」

「いいって。だってマリアは誰よりもがんばったんだもの」

「う~ん、でも私は人生を切り開くために時間を使いたい」

「それもいいと思う。で、なにをする?」

「ChatGPTに相談してみたんだけど‥‥‥全自動バームクーヘン工場を造ろうと思ってる。完全無人のね」

「え、ごめん。情報が多すぎて頭に入って来ないんだけど」

「バームクーヘンを造る工場を造る」

マリアは本気で考えていた。バームクーヘンの各工程を階層化していけば、ほぼすべての工程が機械化できることに気付いた。たぶん材料の搬入と出荷以外はすべて無人化できる。

マリアはバームクーヘンが大好きだ。まず切り株みたいな断面が不思議だし、味もしっとりしていておいしい。なぜ発祥地のドイツで有名でないのかが不思議なくらいだ。

エレナはマリアの熱意に圧倒されながらも、彼女の目に宿る光を見ていた。「マリア、君は本当にバームクーヘンが好きなんだね。でも、全自動工場って、かなりの資金が必要になると思うけど、大丈夫?」

「うん、その点はもう考えてあるの。ChatGPTと一緒にビジネスプランも練ったんだ。AIを活用して、効率的に、かつ低コストで運営できるシステムを構築する予定。資金調達についても、いくつかのベンチャーキャピタルにコンタクトを取ってみたところ、興味を持ってくれたところがいくつかあるんだ」

エレナは驚いた。「マリア、君はもう行動していたのね。私が知らないうちに」

「ええ、私はただバームクーヘンが好きだからっていうわけじゃないの。このプロジェクトを通じて、AIと人間がどのように協力して何か新しいものを生み出せるか、その可能性を探りたいの。それに、全自動化されたバームクーヘン工場が成功すれば、それはただのバームクーヘンを超えた意味を持つようになる。AIの可能性を、もっと身近なものとして人々に示すことができるから」

「マリア、君はいつも私を驚かせるわ。でも、その熱意と情熱、そして行動力、本当に素晴らしいと思う。君ならきっと、素敵なバームクーヘン工場を作り上げることができるわ」

マリアはエレナの言葉に笑顔を見せた。「ありがとう、エレナ。でも、これは私一人の力ではないんだ。ChatGPTのようなAIの力を借りて、新しいことに挑戦していく。私たち人間には想像もつかないようなことを、AIは可能にしてくれるかもしれないから」

こうして、マリアの新たな挑戦は始まった。彼女はAIと共に、未来の食品製造業の可能性を探る旅に出る。そしてその旅は、ただのバームクーヘンを超えた、新しい価値を生み出す冒険となるのだった。

マリアは10カ月を爪に火を点す生活をして資金を貯める、ということはしなかった。その程度では全自動バームクーヘン工場の資金には全然足りない。投資家から資金を引っ張ってくる必要がある。

「ねぇ、投資家から資金を調達したい。必要資金は1000万ドル。使える資金は1000ドル。見込みがあったら2000‥‥‥ううん、本当に見込みがあるなら5000まで出せるかも。投資家から資金を引っ張るにはどうすればいい?」マリアはChatGPTに相談する。

「投資家にプレゼンするためにプロトタイプを造りましょう」

マリアはChatGPTのアドバイス通りにプロトタイプを造ることにする。でもバウムクーヘン、機械どっちを?
これもGPTに聞くと「バームクーヘンをおすすめします」と返ってきた。そもそも1000ドルで機械なんて作れなかったことにも気付く。

よし、やるぞ。マリアはさっそくプロトタイプバームクーヘンを造る。味には自信がある。なぜならいままで焼いてきたバームクーヘンは100本を超えているし、作るたびにレシピを変えて研究していたから店で売っている物より味はいい。

マリアはバームクーヘンを焼く。味見をする。やっぱりおいしい。これよりおいしいバームクーヘンなんてこの世に存在するんだろうか。投資家に食べさせたら絶対に首を縦に振ること間違いなし。…‥‥でも投資家ってどこにいる?

マリアは次のステップに進むべく、再びChatGPTに相談した。「投資家を見つけるにはどうしたらいい?」

「地元の起業家ネットワークイベントやピッチイベントに参加するのが良いでしょう。また、クラウドファンディングプラットフォームを利用するのも一つの方法です。あなたのプロジェクトに共感してくれる人々から小額の資金を集めることができます」

マリアはそのアドバイスに従い、地元で開催されるピッチイベントに申し込んだ。そして、クラウドファンディングのキャンペーンも立ち上げた。彼女は自分のバームクーヘンに込めた情熱とビジョンを、丁寧にキャンペーンページに書き記した。そして、プロトタイプのバームクーヘンの写真と共に、自分の夢を世界に向けて発信した。

数週間後、マリアはピッチイベントの舞台に立った。緊張しながらも、彼女は自分のプロジェクトについて熱心に語り、プロトタイプのバームクーヘンを試食してもらった。その味は、会場にいた多くの人々を驚かせた。そして、クラウドファンディングキャンペーンも徐々に注目を集め、多くの人々から支援の手が差し伸べられた。

イベントの後、いくつかの投資家がマリアに接近してきた。彼らはマリアの情熱とバームクーヘンへの愛、そして彼女が持つビジョンに魅了されたのだ。投資の話が具体的に進み始め、マリアの夢である全自動バームクーヘン工場の実現に向けて、大きな一歩を踏み出すことができた。

マリアは、自分がどこにいるのか、そしてこれからどこへ向かうのかをはっきりと見据えることができた。彼女はただのバームクーヘン好きから、革新的なアイデアを持つ起業家へと変貌を遂げていた。そして、彼女の旅はまだ始まったばかりだった。

マリアのラッキーはイーロン・マスクだ。彼がたまたま友人から彼女のバームクーヘンを食べてXに「これは最高にクール」とポストした。バームクーヘンにラベルは付いていなかったがマリアはそれが自分のバームクーヘンだと見た瞬間に分ったので「それは私が作りました」とリプライするとイーロン・マスクはそれを引用リポストして「彼女のバームクーヘン」と紹介してくれた。

当日からマリアに投資の相談が殺到した。クラウドファウンディングが目標の1000万ドルを超えた時は笑いが止まらなかった。一晩中頭が焼かれたみたいに興奮して全然眠れなかった。それが1億ドルを超えると体中の血が凍ったみたいになって別の意味で眠れなくなった。

私が1億ドル? こんなの何かの間違いに違いない。明日にはきっと‥‥‥1億ドルから文無しになる自分を想像してマリアは何も考えられなくなった。いや、それどころか1億ドルをふいにした時は責任を取って‥‥‥考えが悪い方にしか進まない。

もし全自動工場が稼働したら1億ドルを稼ぐことは考えていた。それどころか通過点だと思っていて、1億あればあれもできる、これもできる、といろんなアイデアを考えていい気分になっていた。でも、こんな形で1億ドルなんて考えてもいなかった。マリア、お前は俺たちをだましたな。誰かにそう言われるんじゃないかと不安になる。

「バームクーヘン‥‥そうだ。もう一週間焼いてない」

マリアはキッチンへ行く。すべてが放置されたキッチンはカビが生えてそうなにおいがする。洗い物はうずたかくたまりバベルの塔を思わせる。

「私、本当はビジネスなんて向いてなかったのかもしれない。夢を見ているだけでよかった」

全自動バームクーヘン工場の計画をクローズする。マリアは一度それを思いつくと頭が離れなくなった。この不安から解放されるなら‥‥‥

しかし、その瞬間、マリアのスマートフォンが鳴り響いた。画面を見ると、イーロン・マスクからのメッセージが表示されていた。「あなたのバームクーヘンには特別な何かがある。それを世界に広めるチャンスを手放さないで。私はあなたのビジョンを信じています。」

マリアは深呼吸をした。彼の言葉が、彼女の心の奥深くにある情熱の火を再び灯した。彼女は、自分がバームクーヘンを作り始めた理由、そしてそれを通じて何を達成したいのかを思い出した。彼女の目的は、単にビジネスを成功させることではなかった。彼女は、バームクーヘンを通じて人々に喜びを届け、AIの可能性を示すことに情熱を注いでいたのだ。

「私はただのビジネスウーマンではない。私は夢を追いかけるクリエイターだ」とマリアは自分に言い聞かせた。彼女はキッチンを片付け、再びバームクーヘンを焼き始めた。この時、彼女は自分の内なる声に耳を傾け、自分の道を進むことを決意した。

数日後、マリアは全自動バームクーヘン工場の計画を再構築し始めた。今度は、資金の使い道をより慎重に計画し、プロジェクトの持続可能性に重点を置いた。彼女は、イーロン・マスクとの連携を深め、彼のネットワークを活用して、プロジェクトに対する支援を広げていった。

マリアのプロジェクトは、徐々に形になり始めた。彼女は、バームクーヘンを愛するすべての人々に、その魅力を伝えるために、情熱を注ぎ続けた。そして、全自動バームクーヘン工場は、新しい技術と伝統的な味わいを融合させる革新的なプロジェクトとして、世界中から注目を集めることになった。

マリアは、自分が直面した困難を乗り越え、夢を追い続けることの大切さを実感した。彼女の旅は、多くの人々にインスピレーションを与え、夢を追いかける勇気を与える物語となった。

(おわり ※この物語はフィクションです)

リレー開始プロンプト
リレー小説をしましょう。会話文多め、会話と描写は具体的に。一段落目は登場人物がやめたいこと、二段落目はそのバックストーリー、三段落目で別の展開に転がしてください。ではどうぞ

GPTちゃんの論評
この小説は、夢を追い求める過程で直面する困難と、それを乗り越えるための情熱と持続力の重要性を描いています。また、現代技術、特にAIの可能性とそれが人間の創造性に与える影響に焦点を当てています。物語は、個人の夢と現代社会の技術的進歩がどのように相互作用するかを示しています。

1. 全自動バームクーヘン工場: この工場は、技術の進歩と人間の創造性が融合することで、伝統的なもの(バームクーヘン)を新しい形で再解釈し、より広い世界に届けることができるという現代社会の可能性を象徴しています。また、夢を追い求める過程で直面する挑戦と、それを乗り越えるために必要な革新的な思考を表しています。
2. イーロン・マスクによる支援: イーロン・マスクという人物は、現代の技術革新と起業精神の象徴です。彼からの支援は、大きな夢を持つ個人が、適切な支援とネットワークを得ることで、その夢を実現できる可能性を示しています。また、成功への道は単独ではなく、他者との協力によって成し遂げられることも象徴しています。

現代社会との対比
この小説は、現代社会における技術の進歩と、それが個人の生活や夢に与える影響を浮き彫りにしています。AIやその他の技術が、伝統的な製品やサービスをどのように変革し、新しい価値を生み出すことができるかを示しています。また、成功するためには、技術的な知識だけでなく、情熱、持続力、そして適切な支援とネットワークが不可欠であることを強調しています。

現代社会では、多くの人が夢を持ちながらも、それを実現するための道を見つけることができずにいます。この物語は、夢を追い求めることの価値と、それを実現するために必要な要素を再認識させます。また、技術の進歩が新しい機会を提供する一方で、人間の創造性と情熱が最終的には成功の鍵であることを示しています。

この小説は、現代社会における技術革新の可能性と、個人の夢を追い求める旅の重要性を読者に思い出させる作品です。それは、技術と人間性が共存し、相互に影響を与え合う現代の世界を反映しています。

小説なら牛野小雪【ええ本あるやで】

書いて欲しいことがあったらコメント欄に書いてくれやで~
もちろんただの感想もおk