昨日GoogleがBardを更新してGeminiという新しいAIチャットを発表した。上位版のGemini ultraはGPT4より性能が上らしい。日本語版だとまだ素のGeminiしか使えないけど、それでリレー小説してみた。もしGeminiがGPT3.5に匹敵するバージョンと考えるならGPTちゃんの方がひとまわり上の印象を受ける。基本的にチャットAIは小説を書くものではないし、Googleアプリと連携しているのはかなり便利だからGPTから移り変わる人はいるかもしれない。Xの反応見ているとどうもGPT3.5あたりの反応と似ている気はするけど‥‥‥どうなんでしょう? 日本に上陸するころにはブラッシュアップされているかもしれない。

 最近テック系ニュースを見ているとAIは拡張性の方向に舵を切ったように見える。AIで機械を動かすとか、アプリを動かすとかそんな感じ。Bingにcopilotが導入されたのもその一環だろう。汎用性AIはこのへんが頭打ちで、これからは能力特化していくのではないか。Bingのcopilotみたいな検索AIを皮切りに(マイクロソフトのアプリでも使える)、料理特化、医療特化、スポーツ特化みたいな感じ。その中で小説特化っていうのはなさそう。すくなくとも日本ではそういう動きを感じられない。

 GPTちゃんに小説を書かせていて感じるのは、小説を書く情報自体は持っている。ただそれがうまく出力できないだけって感じ。もちろん1回のプロンプトで1000字が限界という制約も一つの要因だが、10000字吐き出せるようになってもAI構文による不気味さは変わらないだろう。それはGPTちゃんではなく人間の問題で、人がどうやって小説を書いているのかを理解していないからだと思う。「良い感じにしといて」ではGPTちゃんもどう書いたらいいか分からない。

 データーベース的には古典から村上春樹まで入ってる。村上春樹なんてっていう人もいるかもしれないが、日本文学で彼以降これといった小説家がいないのも事実。彼に代わりうる影響力のある作家がどこにいる? その意味ではいま一番小説的知識を持っているのはGPTちゃんとも言える。それなのになぜ世界一の小説家になれないのかというと、彼女のデータベースには世界一の小説を書くデータが存在しないから。なぜ存在しないのかと言えば簡単な話だ。人間が世界一の小説を書く方法を知らないから。なんなら小説を書く方法さえ分かっていない。基本的に小説を書くためのアドバイスの筆頭は「とにかく書け」である。私だってそう言うだろう。とりあえず書いてみないことにはネット上でいくらでも見つかる小説作法だってロクに頭に入らない。でもそんな小説作法を守ったところで小説が書けないのも事実だ。

 本当のところを言えば、私たちはどうやって小説を書いているのか何も分かっていない。だからAIにああだこうだ言ったところでネット上に転がる知識を打ち込む程度だ。でもそれでは何にも書けない。AIに小説を書かせるには人間がいまよりもっと深いレベルで小説の解像度を上げなければならない。解像度を上げるとは小説のセンスを言語化するということ。これって難しいよなぁ。私の手には余ることじゃないか? GoogleのGeminiがリリースされたからOpenAIもGPT5をリリースすると噂されている。汎用性AIがもっとレベルアップして小説の書き方を人間以上に言語化してくれないかなぁって他力本願なことを考える今日この頃。

(おわり)

関連項目
小説なら牛野小雪【kindle unlimitedで読めます】