ある晴れた日、都会の公園で出会った二人の運命は交わった。桜の花が風に舞い、陽光が二人の周りを包み込んでいた。彼らの名前は悠斗と葵。悠斗は大学生で、葵は美容師をしていた。二人はまったく異なる世界から来ていたが、不思議な縁で出会った。

悠斗は公園のベンチで本を読んでいた。彼は静かで物静かな性格で、大人しそうな風貌だった。一方の葵は、近くの花壇で花に水をやっていた。彼女は明るく笑顔が絶えない女性で、周りの人たちともすぐに打ち解けることができるタイプだった。

「こんにちは」と葵が声をかけた。悠斗は本から目を上げ、初対面の相手に戸惑いながらも微笑んだ。

「こんにちは。綺麗な花ですね」と悠斗が答えた。それが、彼らの運命の始まりだった。

陽光1:おい、俺の女に声かけてんじゃねぇ

陽光2:てめぇみたいなカスが近付いていいと思ってるのか

陽光3;このもやしもんがよぉ

陽光4:ここで散らせてやろうか。桜のように

二人の周りを包み込んでいた陽光が一斉に喋り出す。悠斗はぷっと吹きだす。

陽光5:てめぇなにがおかしい

悠斗:いや、弱い犬ほどよく吠えるって本当だなって。笑ってすみません

葵もつられてふふふと笑う。ここで引けばメンツがすたれる。陽光は悠斗に襲いかかる。

悠斗は笑顔を崩さず、ゆっくりと立ち上がった。陽光たちの攻撃的な雰囲気にも動じず、冷静な表情を浮かべて言った。

悠斗:「すみません、誤解が生まれたようですね。ただ、彼女とは偶然の出会いで、特に悪い意図はありません。」

葵は悠斗の隣に立ち、彼を支えるように微笑んだ。彼女もまた冷静な態度を崩さないように心掛けていた。

葵:「そうだよ。私たちはただ親しくなりたくて話してただけ。」

しかし、陽光たちはますます興奮しているようで、一人が悠斗に向かって一歩踏み込んだ。

陽光1:「冗談はいい。お前の謝罪なんて受け入れられるわけないだろう?」

悠斗は冷静なまま、相手を見据えた。そのとき、公園の端から警察官が近づいてくるのが見えた。葵は微かにほほ笑んで、陽光たちに向かって言った。

葵:「もう少し大人になりましょうよ。こんな場所で騒ぐのも良くないでしょう?」

警察官が到着し、事情を聞き始めると、陽光たちは不機嫌そうに立ち去っていった。悠斗と葵は、お互いに微笑み合い、再び公園の平和な雰囲気に戻っていった。

悠斗:「ありがとうございます。助かりましたね。」

葵:「いいえ、お互い慌ただしい瞬間だったけど、なんだか楽しかったかもしれないね。」

二人は再びベンチに座り、穏やかな時間が流れ始めた。それから、彼らの運命の糸はどのように紡がれていくのだろうか。
人の闇はそう簡単に晴れるものではない。陽光は漆黒に助けを求める。

陽光6:あの野郎ゆるせねぇ。葵を取りやがった

漆黒:弱いやつほどよく吠えるか。面白いやつだな

陽光7:お・・・・・・いや、笑ってくれていい。ただ悠斗とかいうカスを倒せるならなんだっていい

漆黒:いいだろう。メンツを捨てて運命最強の俺に助けを求める。お前は充分に対価を払った。そのカスは俺がつぶしてやる

陽光8:ありがてぇ

漆黒は陽光に包まれて悠斗と葵のところへ行く。二人が漆黒を見ると穏やかな時間は止まり、辺りは緊張に包まれる。陽光は自信を取り戻し口を開こうとする。その瞬間に漆黒が影になり、飛んだ。悠斗も同時だ。何が起きたのかは二人にしか分からない。二人の位置は変わっている。

漆黒:口だけのやつとは違うようだな

悠斗:喋れないのかと思った

漆黒:まず殴ってから会話する。そうしないと安心できないんでな
悠斗は驚きと同時に、漆黒の言葉に心地よい緊張感を感じた。葵もまた、不穏な雰囲気に包まれながらも、冷静な表情を崩さなかった。

悠斗:「君が何者かは分からないが、私たちに敵意はないはずだ。何故こんなことをするんだ?」

漆黒:「敵意はないかもしれないが、俺にとってはこれが楽しみなんだ。喧嘩ってやつがな。」

陽光たちも漆黒の言葉に賛同しているようで、不穏な笑みを浮かべていた。悠斗は深呼吸をし、冷静に状況を把握しようと努めた。

悠斗:「君が求めるなら、戦おう。ただし、無駄な血は流さないように。」

漆黒は悠斗に対して興味深そうな視線を向けたが、そして意外なことに、にやりと笑いながら頷いた。

漆黒:「いいだろう。面白いやつだ。だが、負けたらお前たちの人生、終わりだぞ。」

悠斗と漆黒は瞳を合わせ、闘志を燃やす。それぞれの運命が交錯し、公園の平和な一日は終わりを告げようとしていた。
二人はまたすれ違う。他の者には影になって消えたようにしか見えない。位置が入れ替わっているので何かが起きたとかろうじて分かるだけだ。

なぜこんな男が。悠斗は胸に寒いものが走ると同時に漆黒に対して友情のような暖かみを感じる。お互いに匹敵する者がいない存在だ。自分より強い者が存在しない寄る辺のなさを抱えて生きていたに違いないのだ。漆黒が微笑む。悠斗も自分がいま同じ顔をしていることに気付く。

言葉は出せない。いや必要ない。言葉を超えた感覚で二人は拳を突き出す。今度はすれ違わずに交じり合う。二人ともアゴを斜め下から打ち抜いていた。

二人とも足が止まる。お互いに拳の届く距離だ。二人は拳を鋭く打ち合いながらも相手の拳をいなし、避ける。

ふいに悠斗の体が飛ぶ。陽光が飛び蹴りを放っていた。

漆黒と悠斗の戦いは白熱していた。しかし、陽光の奇襲が加わり、戦局は一変した。悠斗はその勢いで地面に叩きつけられ、しばらく動けなくなった。

陽光:「これが俺たちの力だ。こんなもんじゃ俺たちにはかなわねぇよ。」

漆黒は冷静なまなざしで悠斗を見つめた。そして、微笑みながら言った。

漆黒:「やるじゃねぇか、悠斗。お前はなかなかの相手だ。」

陽光たちは満足げな表情で漆黒の言葉に耳を傾けていた。しかし、その時、葵が悠斗のそばに駆け寄り、彼を支えた。

葵:「悠斗、大丈夫?」

悠斗は微かな笑顔を浮かべ、頷いた。

悠斗:「ありがとう、葵。でも、まだ終わりじゃない。」

漆黒は悠斗の言葉に興味津々の表情を見せ、再び立ち上がるよう合図を送った。

漆黒:「お前の覚悟が見たい。」

悠斗もまた立ち上がり、葵とともに再び漆黒と向き合った。二人の戦いは、運命の糸を絡めながら、新たな展開を迎えようとしていた。
悠斗:覚悟?・・・・・・ないこともない

漆黒:お前にはもう無理だ

漆黒の顔はすでに勝者のそれで弱者にあわれみを投げかけている。

悠斗:後悔する暇もないぐらい瞬殺してやるよ

悠斗はベンチに置いていた本を手に取るとページを開く。

悠斗:ハルバード・ハルバード・ザーザド・スクロノース。因果のことわりよ。汝の権威揺るがさぬ青い女王。冷酷な慈悲をもってその契りを解かん。バルシュトゥム!

悠斗が呪文を唱えると漆黒の前に極小のブラックホールが発生し、彼はその中に吸い込まれる。しかし高速を超えた吸引力によって彼の体は圧縮され核融合を起こし100億度を超える温度で光の円錐状となり爆発する。唱えられた者は必ず死ぬ究極の最強魔法だ。

葵:あなたはいったい?

悠斗:俺はこことはまったく異なる世界から来たんだ。

葵:それって?

悠斗:隠していたわけじゃない。言う機会がなかっただけだ。その世界はもうない。俺はあまりに強すぎるので世界を壊してしまった。

陽光9:か、怪物だ・・・・・世界の終わりだ
悠斗は悲しみに満ちた表情で頭を垂れ、その背後に広がる異次元の風景を見つめていた。

悠斗:「その世界はもう存在しない。僕は力を持ちすぎてしまい、結局は何も残らなかった。」

葵:「それでここに来たの?」

悠斗:「そう。この世界で新たな出会いや経験を求めて。でも、力を持つことは善悪問わず、過去の世界を破滅に導くこともあるんだ。」

葵はしばらく黙って悠斗の言葉を聞いていた。そして、微笑みながら言った。

葵:「だからこそ、ここで新しい道を切り開いていけばいい。過去のことは変えられないけれど、未来はまだ形成されていない。」

悠斗は葵の言葉に救われたような表情を見せ、頷いた。

悠斗:「君の言う通りだ。そして、君と出会えたこと、そしてこの世界で新たな仲間たちに出会えたことに感謝している。」

陽光たちも漆黒の姿が見えなくなり、戻ってきた平和な公園に微笑みを浮かべた。これから先、悠斗は新しい冒険に身を投じ、過去の過ちを乗り越えていくことになるだろう。

(おわり)

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