インターネットはどこかで誰かがしょうもない情報をあげていることで、調べれれば何でもあるという状態が維持される。でも、近所のサイクリングロード脇にある用水路にカメが何匹いるか計測しているサイトは存在しなかった。検索したら本当に無かったので逆にびっくりしたぐらいだ。インターネットにはもっと猥雑さが必要とされている。
誰の役に立つかは分からないが、ここには『火星へ行こう君の夢がそこにある』を10版に改訂したので、わりと大きめな修正した内容を解説しておく。かといって何百文字もあるようなのは省いた。それと誤字と細かいところも。
(旧版)
火星四輪車は電気で動く大きなタイヤのバギー車で、電力は宇宙船の太陽光パネルで充電したバッテリーから供給される。満タンまで充電して三時間の運転ができると説明書には書いていた。
(10版)
火星四輪車は電気で動く大きなバギー車で、宇宙船の太陽光パネルからバッテリーに充電する。満タンまで充電すれば三時間運転ができると説明書には書いていた。
1.タイヤが大きいから火星四輪車もデカイという部分だが、火星四輪車自体が大きければタイヤもデカイだろうということでタイヤを消した。
2.正確には宇宙船のバッテリーから火星四輪車のバッテリーに充電するのだが、ちょっとまどろっこしいので電力の流れをパネルからバッテリーへ直結した。
3.三時間の運転ができる → 三時間運転ができる
のをつけた方が良い様な気もするけど、こっちで通じるならこっちの方がすっきりする。ちょっと自信がなかった。
(旧版)
「ごくろうさまでした、これから船は地球から離れ火星へのコースを取ります」
(10版)
「ごくろうさまでした、これから船は火星へ向かうコースを取ります」
“地球から離れ”を消す。
(旧版)
一年前に火星行きの宇宙飛行士を募集する求人広告が出た。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット。あらゆる媒体で募集がかかった。『火星へ行こう、君の夢がそこにある』が火星行きの宇宙飛行士を募集する宣伝文句だった。
(10版)
一年前に、火星行きの宇宙飛行士を募集する広告が、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット、あらゆる媒体で流された。宣伝文句は『火星へ行こう、君の夢がそこにある』
1、二つの文を一つにまとめた
2、火星行きの宇宙飛行士を募集するが同じ段落にあるので、後ろの方には消えてもらった。宣伝文句はタイトルと同じ。煽るだけ煽ってどんな夢があるのかはさっぱり分からない。あくどい求人広告にありそう。従業員としてではなく請負契約にされるタイプ。「頑張ればがんばった分だけ給料がもらえる!」って煽る。
(旧版)
一郎は大学を卒業してからまだ一度も働いたことが無かった。大学を卒業してから一年間は何をするでもなく過ごしていた。
(10版)
一郎は大学を卒業してから一年経つが、まだ一度も働いたことが無かった。この一年は何をするでもなく過ごしていた。
大学を卒業してからが同じ段落に二回ある。こういうパターンが多い。探せば他にもあるかも。
(旧版)
三男の一郎が、三郎ではなく一郎なのは両親が子供の数は必ず三人にすると決めていたからだそうだ。最初の子どもに三郎と名付けて、二郎、一郎とカウントダウンしていったらしい。つまり、一番に生まれたから一郎ではなく、最後の一人だから一郎という名前だそうだ。男の子なら数字の後に郎を付ければ良いが、女の子だったらどういう名前にするつもりだったのかは分からない。
(10版)
なし
この後、両親が大きく物語に関わってくるわけでもないので、こういう家族の小話はいらないと判断した。その代わり一郎が火星に行くきっかけになる二郎の小話は残しておいた。それと一郎自身の小話も。
(旧版)
ゲームをするのに戻って、また一時間経った頃にパソコンからデータを読み込む音が
(10版)
ゲームに戻って、また一時間経つとパソコンからデータを読み込む音が
ゲームに戻るってなんだ? でも、こっちが自然だよな。一時間経つのは火星と地球の距離が遠いから。でも本当は40分で済むんだ・・・・(もちろん距離によって変わるけど。でも飛ばすのは電波なので一時間も必要ない)。四十分だと字面が悪いから一時間にしてしまった。きっとこの世界では火星まで一時間かかる電波があるんだと思う。それか受信する時に特殊な処理で時間がかかるのかもしれない。
(旧版)
旅館の仲居さんが夕食の膳を部屋に持ってきて、いませんか、と声をかけた。一郎はいますと声を出し、窓を閉めて部屋の明かりをつけた。明かりをつけると窓から富士山が消えて、部屋と一郎の姿が映った。
(10版)
旅館の仲居さんが夕食の膳を部屋に持ってきた。
ここだけ抜け出すと意味が分からないので解説をすると、主人公の一郎が閉鎖実験を終えて旅館に泊まったときに窓から見える逆さ富士を見るために部屋の明かりを消していたわけだ。だから仲居さんが夕食の膳を持ってきたときに部屋の明かりがついていないので、いませんか、と声をかけている。で、明かりを点けると、窓に部屋が映って富士山が見えなくなるという場面。だからなんだって話なんだが。
どの版で消したのか覚えていないが、一郎が月を見て、さらにその向こうにある火星に思いをはせる場面がある。(意外に覚えているものだ)
(旧版)
その雲をずっと見ていると頭がふらふらしてきたので、これはのぼせたぞと一郎は思い風呂から出ようとしたが、やけに体が重く、立ち上がるのが苦しいのでそのまま這うようにして風呂から出た。体から力が抜けて頭も腰もくたびれて露天風呂の脇に座り込んだ。体の熱が空に抜けていく感じがしたのでしばらくそのままでいて一郎はのぼせが治まるのを待った。頭がすっきりしてくると体が冷えたので、もう一度風呂に入ってから風呂を出た。
(10版)
なし
旅館のお風呂に入っていたらのぼせてしまうという話。『火星へ行こう君の夢がそこにある』には必要なさそうだったから削除。でも面白いと思うよ。風呂でのぼせて、ほうほうの体で湯船から出ると、風呂場でぐったりしてしまって、今度は体が冷えてきたので、またお風呂に入る。でもこの話には必要ないかな。本当にそれだけの話だもの
KDPセレクトだと内容の10%まで(規約が変わっていなければ冒頭からではなく全体の10%)を公開しても良いことになっているけど、あとでもめるのは嫌なので、このへんで大事をとっておく。
見返すとばっさり削った段落がある。うん、でも書いた時は必要だったと思うんだな。初版を読み返すとやっぱり文章が弱い印象を受ける。真っ直ぐなだけだと倒れそうなので脇に補強を入れていたんじゃないかな。でも版を重ねるごとに筋が通ってきたので補強がかえって浮き上がってきて邪魔になったのかもしれない、というのが私の判断。
地文の会話部分に「」を付けていない部分が多くあって(付け忘れたわけじゃない)、せっかく時間と手間をかけて改訂するのだから10版では付けようかどうか迷ったが、やっぱり付けないことにした。そこは初版を書いた私の意思を尊重。でも、今書いたなら「」を付けるだろうなぁ。
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2016年5月24日に確認
余談:紙の本みたいに売れたら版を重ねるわけではないので、10版になってもさしてめでたい話でもない。 それだけ手を加えたというだけのこと。電子書籍に重版なんてないのだ。







