ChatGPTなどのAIがインタビュアーになり、取材対象者の話を聞いて記事としてまとめる手法は、今後じわじわと広がっていく可能性が高い。すでに企業や個人がAIをライティングアシスタントとして使うケースは増えており、自然言語処理の能力が向上するにつれて、AIを活用した取材・編集の効率化はますます進むと考えられる。特に音声入力や対話型のシステムを介して企業担当者が自社の情報を伝達し、AIがそれを整理・文章化するプロセスは、スピードとコストの両面で魅力的だ。従来のプレスリリース制作には、取材担当者やライターがスケジュールを合わせ、録音や録画データを文字起こしして、さらに編集という作業が必要だったが、ChatGPTのようなAIを使えば、会話の流れをリアルタイムで文章化できるため、初稿が瞬時に完成する。修正や追記もその場で指示すれば直ちに反映されるため、企業にとっては負担が大きく軽減されるだろう。
一方で、この方法が主流になるかどうかには、いくつかの課題が残る。まず、取材対象の話す内容が曖昧であれば、AIは事実確認を行わずそのまま書き起こすので、誤情報が紛れ込むリスクがある。人間のライターなら「この数字は本当ですか?」と再確認したり、裏を取ったりするプロセスがあるが、AIはあくまで与えられた情報をもとに文章を生成するため、ファクトチェックの段階を省いてしまう恐れがある。また、インタビュー独特の空気感や微妙なニュアンスは、テキストを通してどこまで正確に再現できるかという問題もある。対面取材では表情や口調を読み取り、質問の方向を変えることが容易にできるが、AIはユーザーからの入力がなければ柔軟に深掘りをするのは難しい。企業の意図やブランドイメージを、AIがどこまで自然に汲んでくれるかも、まだ未知数な部分が多い。
それでも、記事のベースとなる素材づくりとしては大いに有用だろう。インタビュー形式で回答を得るだけで、概要を瞬時に構築できるのは非常に便利だ。特に忙しい担当者が限られた時間で効率よく発信情報をまとめるには、AIインタビュアーは優れたツールと言える。今後は、AIが初稿を作成し、人間が最終的にブラッシュアップしてリリースや記事として完成させるワークフローが一般化する可能性がある。つまり、主流になるとしても「完全にAI任せ」ではなく、「人間が最終責任を持って監修する」形が基本だろう。AIが優れているのは大量のデータや言語パターンを素早く処理し、それらを使って文章を整える力であって、取材対象者の真意や背景まで深く汲み取るには限界がある。しかし、十分に工夫すれば通常のライティング業務より時間もコストも削減できるため、企業が一度導入し、そのメリットを体感すると、手放せなくなるかもしれない。最終的には、人間のチェックやクリエイティブなアレンジといった工程とのバランス次第で、AIインタビューによる記事制作が新たなスタンダードになるかどうかが決まっていくだろう。
(おわり)
ChatGPTに取材・インタビューされて記事制作を頼んだ記事
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